ペットと暮らせる賃貸物件を探してみたら、思った以上に数が少なくて驚いた経験はないでしょうか。日本の賃貸住宅のうち、ペット飼育可の物件は全体の1〜2割程度にとどまると言われており、希望する条件の物件を見つけるにはコツが必要です。

この記事では、ペット可賃貸の探し方から初期費用の相場、契約時の注意点、退去時の原状回復まで、物件探しに必要な知識をひと通りまとめました。犬と猫それぞれの注意点にも触れているので、これから物件探しを始める方はぜひ参考にしてください。

ペット可物件の3種類と違い

物件探しの前に「ペット可」と一口に言っても、実は3つの種類があることを知っておくと選択肢が広がります。

種類内容特徴
ペット可飼育を明示的に認めている物件条件や頭数の制限があることが多い
ペット相談可交渉次第で飼育が認められる可能性のある物件空室が続いている、築年数が古いなど柔軟な物件
ペット共生型ペット飼育を前提に設計された物件足洗い場・防音床・キャットウォークなど設備が充実。家賃はやや高め

ポータルサイトで検索する際は「ペット可」に加えて「ペット相談可」にもチェックを入れておくことで、物件数を一気に広げられます。ペット共生型は数が少なく家賃も高めですが、同じ環境の入居者と暮らせる点でトラブルが起きにくいメリットがあります。

ペット可物件が少ない理由

そもそもなぜペット可物件は少ないのでしょうか。オーナー側からみると、ペットを飼う入居者を受け入れることにはいくつかのリスクがあります。

オーナーの懸念具体的な内容
建物の損傷壁紙の爪とぎ傷、フローリングの傷、柱のかじり跡
臭いの定着退去後も臭いが残り、次の入居者が決まりにくい
騒音トラブル鳴き声やじゃれた音による近隣からの苦情
アレルギー問題次の入居者にペットアレルギーがある場合のクレーム
原状回復コスト通常の退去より修繕費用が高額になりやすい

こうした事情から、多くのオーナーはペット飼育を不可としています。逆に言えば、ペット可にしている物件は「ペット飼育によるリスクを織り込んだうえで条件を設定している」ため、敷金や家賃がやや高めになる傾向があります。

ペット可賃貸が少ない理由と効率的な物件の探し方

物件の探し方と検索のコツ

ペット可物件を効率よく見つけるには、ポータルサイトの検索条件を工夫するだけでなく、複数のアプローチを並行するのがおすすめです。

探し方メリットデメリット
ポータルサイト(SUUMO、HOME’S等)物件数が最も多いペット可で絞ると一気に数が減る
ペット可専門の不動産会社ペット事情に詳しい対応エリアが限られる場合がある
地元の不動産屋未公開物件を紹介してもらえることがある足を運ぶ必要がある
SNS・掲示板個人オーナーの物件に出会えるトラブルリスクが高い

ポータルサイトで検索する際は、「ペット可」だけでなく「ペット相談」のチェックも入れておくと、交渉次第で飼育可能になる物件が表示されます。さらに、築年数や駅距離の条件を少し広げることで選択肢が増えるケースも多いです。

SUUMOとHOME’Sではペット可物件の検索方法やフィルタの仕様が異なります。両方を使い分けると見落としが減ります。

SUUMO vs HOME’S。ペット可賃貸はどっちで探すのが正解?

遠方からの物件探しには、オンライン内見を活用する方法もあります。

ペット可賃貸のオンライン内見。確認すべきポイントと注意点

内見時にはペットの飼育条件を必ず確認しましょう。「小型犬1頭まで」「猫不可」など、物件ごとに細かい条件が異なります。

ペット可賃貸の初期費用はいくら? 相場と節約のコツ

初期費用の相場

ペット可物件の初期費用は、通常の物件と比べて高くなる傾向があります。主な理由は敷金の上乗せです。

費用項目通常物件の相場ペット可物件の相場差額の目安
敷金家賃1ヶ月分家賃2〜3ヶ月分+1〜2ヶ月分
礼金家賃0〜1ヶ月分家賃0〜1ヶ月分差なし
仲介手数料家賃0.5〜1ヶ月分家賃0.5〜1ヶ月分差なし
火災保険1.5万〜2万円2万〜3万円やや高め
ペット敷金(追加分)なし家賃1ヶ月分+1ヶ月分

たとえば家賃8万円のペット可物件の場合、初期費用の合計は40万〜55万円程度になることがあります。通常物件なら30万〜40万円程度で収まるケースが多いので、10万〜15万円の上乗せを想定しておくとよいでしょう。

初期費用を抑える方法としては、仲介手数料の安い不動産会社を選ぶ、フリーレント付きの物件を探す、敷金を交渉する、引越し時期をずらすといった手段があります。

ペット可賃貸の敷金が高い理由と節約の方法

ペット可賃貸の仲介手数料を安くする方法

ペット可物件は通常物件に比べて家賃が上乗せされていることが多いです。このプレミアムの相場を知っておくと予算計画に役立ちます。

ペット可賃貸の家賃は高い?上乗せ相場と安く見つけるコツ

引越し時期によっても費用は大きく変わります。閑散期を狙うと初期費用と引越し代の両方を抑えられます。

ペットと引越しする安い時期はいつ?シーズン別の費用比較

ペット不可物件での交渉

「ペット不可」と表示されていても、交渉によって飼育を認めてもらえるケースがゼロではありません。特に空室期間が長い物件や、築年数が古い物件では、オーナーが条件を緩和する可能性があります。

交渉のポイントは3つです。まず、敷金の上乗せを自ら提案すること。次に、ペットの種類・大きさ・頭数を具体的に伝えること。そして、飼育実績やしつけの状況を証明できる材料(予防接種証明書、写真など)を用意することです。

ただし、交渉はあくまで「お願い」であり、無理に押し通すものではありません。断られたら素直に引き下がり、別の物件を探しましょう。

交渉で合意が得られた場合は、口約束ではなく必ず書面で条件を残してください。契約書の特約事項としてペット飼育に関する条件を明記してもらうのが鉄則です。

ペット不可物件での飼育はバレる? リスクと正しい対処法

ペット可賃貸の交渉テクニック。成功率を上げるコツ

契約時の注意点

ペット可物件の賃貸借契約では、通常の契約に加えてペット飼育に関する特約が設けられるのが一般的です。この特約の内容をしっかり確認しないまま署名すると、退去時に思わぬ請求を受けることがあります。

契約時にチェックすべき主な項目は以下のとおりです。

チェック項目確認すべき内容
飼育可能な動物犬のみか、猫もOKか、種類・頭数の制限
敷金の扱いペット分の敷金は返金されるか、償却か
原状回復の範囲ペット起因の損傷はどこまで借主負担か
共用部のルールエレベーター利用時の制約、足洗い場の有無
禁止事項ベランダでの飼育、バルコニーへの出入り
退去時のクリーニングペット用消臭クリーニングの費用負担

特に注意が必要なのが「敷金の償却」に関する条項です。「敷金のうちペット分として家賃1ヶ月分は退去時に返還しない」という特約がついている場合、これは原状回復費用とは別の話になります。敷金の一部が返ってこないうえに、さらに修繕費を請求される可能性もあるため、契約前にしっかり理解しておくことが大切です。

ペット可賃貸の契約で確認すべき注意点まとめ

ペット可賃貸の火災保険。選び方と補償内容の確認ポイント

保証会社の審査では、ペット飼育が審査に影響するケースもあります。

ペット可賃貸の保証会社審査。ペット飼育で不利になるケース

鳴き声や足音によるトラブルは契約後に起きやすい問題です。事前の対策が重要です。

ペット可賃貸の騒音トラブル。防音対策と近隣への配慮

犬を飼う場合の物件選びのポイント

犬を飼う場合、物件選びで特に重視したいのは「散歩に出やすいか」と「防音性能」です。

毎日の散歩は犬の健康維持に欠かせないため、近くに公園や遊歩道があると日々の生活が格段に楽になります。また、犬の吠え声は猫の鳴き声より大きく響くため、RC造(鉄筋コンクリート造)の物件を選ぶと近隣トラブルのリスクが下がります。

建物の構造(RC造・木造・鉄骨造)による防音性能の違いは物件選びの重要なポイントです。

ペット可賃貸はRC造と木造どっちがいい?構造別の防音性能比較

間取りの選び方もペットの快適さに直結します。犬の体格に合った部屋の広さの目安を知っておくと失敗が減ります。

ペット可賃貸の間取り選び。犬猫の大きさ別おすすめレイアウト

大型犬を飼いたい場合は、物件の選択肢がさらに限られます。エレベーターの広さや共用廊下の幅も考慮に入れて探す必要があります。

大型犬と暮らせる賃貸物件の探し方。東京エリアの選択肢

犬の散歩にぴったりの東京エリアガイド

これから犬を飼い始める方は、賃貸での飼い始めに必要な準備をまとめた記事も参考にしてください。

犬を飼い始めるなら知っておきたい。賃貸での準備と物件選び

猫を飼う場合の物件選びのポイント

猫の場合、散歩の必要がない反面、壁への爪とぎや高い場所への移動による損傷がオーナーの懸念材料になります。そのため「犬は可だが猫は不可」という物件も珍しくありません。

猫を飼える物件を探す際は、検索段階で「猫飼育可」を明確に確認しておく必要があります。また、猫は窓やベランダからの脱走リスクがあるため、窓の構造やベランダの柵の形状も内見時にチェックしておくとよいでしょう。

1Kやワンルームでも猫は十分に飼えますが、多頭飼いの場合は部屋の広さがトイレの数と猫のテリトリー確保に影響します。2匹以上を飼うなら1LDK以上がおすすめです。

猫を飼える賃貸の探し方。物件選びから契約までの流れ

多頭飼いの賃貸探し。2匹以上でも安心な物件の見つけ方

退去時の原状回復と費用

ペットを飼った物件の退去時は、原状回復の費用が通常より高くなる傾向があります。国土交通省のガイドラインでは「通常の使用による損耗」は借主の負担にならないとされていますが、ペットによる損傷は「通常損耗」とは認められないケースがほとんどです。

退去時に請求されやすい項目と費用感をまとめます。

修繕項目費用目安備考
壁紙の張り替え(1面)2万〜5万円爪とぎ傷がある場合
フローリングの補修3万〜10万円傷の程度による
柱・建具の補修1万〜3万円かじり傷がある場合
消臭クリーニング2万〜5万円臭い定着の度合いによる
合計8万〜23万円ケースバイケース

退去費用を最小限に抑えるには、入居時から壁面保護シートや床マットで対策しておくことが最も効果的です。入居時の室内状態を日付入りの写真で記録しておくことで、退去時のトラブル防止につながります。

ペット可賃貸の退去費用を安くする方法。原状回復の基礎知識

ペット可賃貸の原状回復ガイド。敷金返還のポイント

賃貸の原状回復をDIYで安く済ませる方法

引越し時のペット移動と手続き

物件が決まったら、次はペットを連れた引越しの準備です。ペットの移動方法は距離や動物の種類によって異なりますが、いずれの場合も事前の準備が欠かせません。

引越し前後にやるべきことのうち、ペットに関する項目を整理しておくとスムーズです。市区町村の変更に伴う犬の登録変更や、かかりつけ動物病院の移転手続きなど、見落としがちな手続きもあります。

ペットにとって引越しは大きなストレスです。新しい環境に慣れるまでは、できるだけ安心できるスペースを確保して、段階的に行動範囲を広げてあげてください。

ペットの引越しチェックリスト。手続き・移動・新居の準備

犬の引越しストレス対策。環境変化を和らげる方法

猫の引越しストレス対策。新居に慣れさせるステップ

よくある質問

ペット可賃貸はやめた方がいいですか?

ペット可物件だからといって必ずしも住みにくいわけではありません。ただし、ペットを飼わない場合は臭いや鳴き声が気になるケースがあります。同じ建物の入居者全員がペット飼育者であるペット共生型マンションと比べると、一般のペット可物件は飼育していない入居者も混在しています。詳しくはこちらの記事で解説しています。

ペット可賃貸はなぜ家賃が高いのですか?

オーナーがペット飼育によるリスク(損傷・臭い・騒音トラブル)を家賃に転嫁しているためです。通常物件より月額3,000〜1万円程度高いケースが多く、敷金も1〜2ヶ月分上乗せされるのが一般的です。

入居後に途中からペットを飼い始めてもいいですか?

原則として、契約書に「ペット可」と明記されていない限り、途中からの飼育は禁止されています。「ペット可物件に入居しているから大丈夫」というわけではなく、飼育を始める前にかならず管理会社や大家さんに確認し、書面で許可をもらうことが必要です。無断飼育は退去や損害賠償請求につながるリスクがあります。

退去費用の平均はいくらですか?

ペット可物件の退去費用は状態によって大きく異なりますが、壁紙・フローリング・消臭クリーニングを合わせると8万〜23万円程度が目安です。入居時からの対策(壁面保護シート・床マット)で費用を抑えることができます。

ペット可賃貸の原状回復特約とは何ですか?

通常の使用による劣化・汚損(経年変化)は本来オーナー負担ですが、「ペット飼育による損傷は借主が全額負担する」という特約を契約書に盛り込んでいる場合があります。これが原状回復特約です。爪とぎ傷・かじり跡・ペット臭によるクリーニングなどが対象になることが多く、契約前に内容を把握しておくことが重要です。

参考情報

ペット可物件の市場比率(全体の1〜2割)はSUUMO・HOME’S等の不動産ポータルサイトの検索結果に基づく概算値です。退去時の修繕費用の目安は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」および不動産管理会社の公開データを参考にしています。


ペット可賃貸の物件探しは、通常の引越しよりも手間と費用がかかります。しかし、探し方のコツを知り、契約時の注意点を押さえ、退去に向けた対策を入居時から始めておけば、不安は大きく減るはずです。

ペットの種類や飼い方によって最適な物件の条件は変わります。以下の記事もあわせて参考にしてください。

犬も猫も飼える賃貸の探し方。2種飼いに必要な条件と物件選び

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