犬や猫を2匹以上飼っている状態で引越し先を探した経験がある方なら、あの途方もない大変さをご存知でしょう。ペット可物件自体が全体の約15〜20%と限られているなかで、多頭飼いまで受け入れてくれる物件はさらに絞られます。不動産ポータルで「ペット可」にチェックを入れて検索しても、問い合わせると「1匹までです」と断られる。その繰り返しに心が折れそうになった経験は珍しくないはずです。

ただ、探し方と交渉の仕方を工夫すれば選択肢はゼロではありません。この記事では、多頭飼い可の賃貸物件を効率よく見つけるための具体的な方法と、初期費用を抑えるコツをまとめました。

なぜ多頭飼い可の物件は少ないのか

ペット可物件であっても「1頭まで」「小型犬1匹のみ」といった制限がついているケースが大半です。大家さんが多頭飼いを敬遠する理由を理解しておくと、交渉のときにどこを押さえれば相手の不安を解消できるかが見えてきます。

大家さんの懸念具体的な心配事
騒音の増大2匹以上になると鳴き声の頻度・走り回る音が増える
室内ダメージの加速爪とぎや噛み跡の範囲が広がり、修繕費が膨らむ
においの蓄積複数飼育でにおいが強くなり、次の入居者に影響する
近隣トラブルのリスク頭数が増えるほど苦情発生率が上がると見なされる
退去時の原状回復費用敷金でカバーしきれないほどの修繕費が発生する可能性

ポータルサイトで「ペット可」と表記されている物件でも、問い合わせてみると「2匹以上はNG」と言われることは珍しくありません。検索結果を鵜呑みにせず、1件ずつ頭数を伝えて確認する姿勢が求められます。

頭数別の受け入れられやすさ

多頭飼い可物件の頭数上限は、物件の構造やオーナーの方針によって異なります。一般的な傾向を整理しました。

頭数受け入れられやすさ現実的な選択肢
2匹交渉次第で可能な物件がある小型犬・猫であれば通りやすい
3匹かなり限定されるペット共生型マンション、分譲賃貸に絞られる
4匹以上非常に少ない一戸建て賃貸かペット共生型が現実的

猫の場合は完全室内飼いが前提のため、犬よりも受け入れハードルが低い傾向があります。犬の場合は体重による制限が加わることが多く、2匹とも小型犬なのか、中型犬が含まれるのかで大家さんの判断が変わります。

ペット共生型マンションであれば3匹以上を受け入れる物件も見つかります。建物自体がペットとの生活を前提に設計されており、足洗い場やペット用の動線が整備されているため、多頭飼いへの理解も深いのが特徴です。

ポータルサイトでの効率的な探し方

多頭飼い可の物件を効率よく探すには、ポータルサイトの使い方にコツがあります。

「ペット可」と「ペット相談可」の両方で検索する

「ペット可」だけで検索すると、交渉次第で多頭飼いOKになる「ペット相談可」の物件を見逃してしまいます。両方にチェックを入れて検索し、気になる物件があれば頭数を含めて問い合わせましょう。

フリーワード検索を活用する

SUUMO、HOME’S、アットホームにはフリーワード検索があります。「多頭飼い」「2匹」「複数飼育」といったワードで絞り込むと、備考欄に多頭飼い可と記載している物件がヒットすることがあります。

物件タイプを広げて検索する

マンションだけでなく、一戸建て賃貸やメゾネットタイプも候補に入れると選択肢が広がります。

物件タイプ多頭飼い可の見つかりやすさメリット
ペット共生型マンション高い多頭飼い前提の設計。設備が充実
分譲賃貸マンションやや高い設備グレードが高く、管理規約で許可されていることも
一戸建て賃貸交渉しやすい上下階の騒音問題がない。庭付きなら犬も嬉しい
一般的な賃貸マンション低い1匹までの制限が多い
木造アパート低い防音性が低く、大家さんが敬遠しやすい

3つ以上のサイトを必ず横断する

ペット可物件は母数が少ないうえ、多頭飼い可はさらに少ないため、1つのサイトだけでは選択肢がほとんど見つかりません。SUUMO、HOME’S、アットホームの3つを最低でも併用し、ペットホームウェブのようなペット専門ポータルもチェックしましょう。

ライフハック: 不動産ポータルの新着通知機能を「ペット可」で設定しておくと、条件に合う物件が掲載された瞬間にメールが届きます。多頭飼い可の物件は数が少ないため、スピード勝負になることが多いです。

条件を緩める勇気も必要

駅からの距離、築年数、設備のグレードなど、ペット以外の条件を少し緩めると候補が一気に増えることがあります。駅から徒歩15分以上、築20年以上といった物件は入居者を集めるために「ペット可」「多頭飼い相談可」としているケースが多いためです。

ペット専門の不動産会社に直接相談する

ポータルサイトに掲載されていない物件を紹介してもらえる可能性があるため、不動産会社への直接相談は有効な手段です。特に「ペット可専門」を掲げている仲介会社であれば、多頭飼い可物件のストックを持っていることが多く、大家さんとの交渉にも慣れています。

相談時に最初に伝えるべき情報を整理しておくと話がスムーズに進みます。

伝えるべき情報なぜ必要か
ペットの種類と頭数猫2匹、犬1匹+猫1匹受け入れ可否の判断材料
体重やサイズ小型犬(5kg)、中型犬(15kg)体重制限の確認
飼育歴の長さ5年以上飼い主としての経験値の証明
しつけの状況トイレトレーニング済み、無駄吠えなし大家さんの不安軽減
避妊・去勢手術の有無済み繁殖リスクがないことの証明

大家さんへの交渉を成功させるポイント

多頭飼い可の物件が見つからない場合、「ペット可(1匹まで)」の物件に対して頭数の上乗せ交渉をする方法もあります。大家さんの不安を具体的に解消する提案がカギです。

追加敷金を先に提示する

大家さんが最も気にするのは退去時の修繕費用です。「追加で敷金を1ヶ月分上乗せします」と先に提示すると、受け入れてもらえる確率が上がります。

飼育条件敷金の相場目安
ペットなし1〜2ヶ月
1匹(小型犬・猫)2ヶ月(+1ヶ月上乗せ)
2匹3ヶ月(+2ヶ月上乗せ)
3匹以上3〜4ヶ月(交渉次第)

ペットの写真と情報を用意する

ペットの種類、サイズ、性格がわかる写真を用意しておくと、大家さんに具体的なイメージを持ってもらえます。口頭で「おとなしい性格です」と伝えるより、実際の写真を見せたほうが説得力は段違いです。

飼い主としての実績を示す

前の住居でペットと暮らしていた場合は、退去時に大きなトラブルがなかったことを伝えましょう。前の管理会社から「ペット飼育で問題なかった」旨の書面をもらえることもあります。ペット保険の加入証書やワクチン接種証明書を見せるのも、責任ある飼い主であることのアピールになります。

具体的な対策を書面で提示する

「トイレトレーニング済みです」「床にはタイルカーペットを敷きます」「爪とぎは専用ポールを設置します」など、具体的な損傷防止策を書面にまとめて提出すると、交渉の成功率が上がります。大家さんにとっては「この人はきちんと考えている」という安心材料になるためです。

初期費用を抑えて敷金に回す方法

多頭飼いの場合、敷金の追加負担が増えるため初期費用が膨らみがちです。ここで意識したいのが、初期費用の中で最も交渉余地が大きい仲介手数料の見直しです。

一般的な不動産仲介では仲介手数料が家賃1ヶ月分+税かかりますが、仲介手数料を安く設定している不動産会社を利用すれば、家賃8万円の物件で数万円の節約が可能です。浮いた分を敷金の追加に回せば、大家さんへの交渉材料を確保しつつ総支出額を抑えられます。

費目一般的な金額(家賃8万円の場合)節約後の目安
敷金(多頭飼い)24万円(3ヶ月分)変わらず
礼金8万円(1ヶ月分)交渉で0〜8万円
仲介手数料8.8万円(1ヶ月+税)仲介手数料の安い会社で節約可能
前家賃8万円変わらず
保証会社4万円(0.5ヶ月分)変わらず
合計52.8万円数万円の節約が可能

SUUMO・HOME’Sなどのポータルで気に入った物件を見つけたら、同じ物件を仲介手数料の安い不動産会社経由で契約できないか確認してみましょう。物件自体はどの仲介会社を通しても同じものですが、仲介手数料は会社によって異なります。

参考情報

ペット可物件の市場比率(約15〜20%)はSUUMO・HOME’S等のポータルサイトの検索結果に基づく概算値です。初期費用の内訳と仲介手数料の法定上限は宅地建物取引業法第46条および国土交通省告示に基づきます。

まとめ

多頭飼い可の賃貸物件は決して多くありませんが、探し方と交渉次第で選択肢を広げることは可能です。ポータルサイトの横断検索、ペット専門の不動産会社への相談、追加敷金の提示とペットの情報提供。これらを組み合わせて粘り強く探し続けることが大切です。

初期費用が膨らみやすい多頭飼いだからこそ、仲介手数料の見直しで浮いた分を敷金に充てるという発想を持っておくと、交渉の幅が広がります。

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