ペット可物件に申し込む際、入居審査は避けて通れません。ペットを飼うからといって審査が極端に厳しくなるわけではありませんが、一般の物件にはない確認事項が加わります。
現在の賃貸契約では約8割で保証会社が利用されています。保証会社の種類によって審査の厳しさが異なるため、仕組みを理解しておくと物件選びの幅が広がります。
賃貸の入居審査の基本的な仕組み
入居審査は、家賃を継続的に支払えるかどうかを判断するための手続きです。最も重視されるのは収入と家賃のバランスで、年収が家賃の36倍以上(月収で家賃の3倍以上)が基本的な目安です。
| 家賃 | 必要な月収目安 | 必要な年収目安 |
|---|---|---|
| 6万円 | 18万円以上 | 216万円以上 |
| 7万円 | 21万円以上 | 252万円以上 |
| 8万円 | 24万円以上 | 288万円以上 |
| 10万円 | 30万円以上 | 360万円以上 |
| 13万円 | 39万円以上 | 468万円以上 |
審査は「保証会社の審査」と「大家さん(管理会社)の審査」の二段階で行われます。保証会社は年収・勤務先・勤続年数・過去の滞納歴など定量的な基準で判断し、大家さんは入居者の人柄や生活スタイルも含めた総合判断を行います。
申し込みから結果が出るまでは3〜7営業日が平均です。ペット可物件の場合は大家さんの確認事項が増えるため、1〜2日長くかかるケースもあります。
保証会社の種類と審査の厳しさ
保証会社は入居者が家賃を滞納した場合に大家さんへ立て替え払いをする仕組みで、入居者はその対価として保証料を支払います。
保証会社は審査方法によって大きく3つの種類に分かれ、それぞれ審査基準と保証料の相場が異なります。
| 種類 | 代表的な会社 | 審査基準 | 審査の厳しさ | 初回保証料の目安 | 年間更新料 |
|---|---|---|---|---|---|
| 信販系 | オリコ、ジャックス、エポス | CICなどの信用情報機関に照会 | 厳しい | 家賃の30〜50% | 約1万円 |
| LICC系(協会系) | 全保連、日本セーフティー | 加盟会社間で滞納情報を共有 | やや厳しい | 家賃の50〜80% | 1〜2万円 |
| 独立系 | フォーシーズ、Casa | 自社独自の基準で判断 | 比較的通りやすい | 家賃の80〜100% | 1〜2万円 |
信販系はクレジットカードの延滞歴や携帯電話料金の未払いなど、個人の信用情報を参照します。過去5年以内に金融事故(いわゆるブラック情報)がある場合は通りにくくなります。保証料は安い反面、審査のハードルが最も高いです。
LICC系は賃貸保証に特化した業界団体で、加盟会社間の家賃滞納情報を共有しています。信用情報機関への照会はしないものの、過去に加盟会社で滞納があると記録が残っています(完済から5年程度)。
独立系は他の機関のデータを参照せず、自社基準だけで判断します。信販系で落ちた方でも独立系なら通るケースは少なくありません。保証料はやや高めですが、審査の間口が広いのが特徴です。
家賃8万円の物件で保証料を比較すると、信販系で約2.4〜4万円、LICC系で約4〜6.4万円、独立系で約6.4〜8万円。年間更新料まで含めた5年間のトータルコストは、信販系が6.4〜8万円、独立系が14.4〜18万円と差が開きます。
ペット可物件で追加される審査項目
ペット可物件では、通常の収入審査に加えてペットに関する情報も確認されます。大家さん側のチェックが入る形です。
飼育するペットの種類・犬種(猫種)・頭数・体重は基本の確認事項です。物件ごとに「小型犬1匹まで」「体重10kg以下」「猫は2匹まで」といった条件が定められているため、合致しているかどうかがチェックされます。小型犬1匹までの物件に中型犬で申し込んでも通りません。
ワクチン接種証明書の提出を求められることも多く、犬の場合は混合ワクチン証明+狂犬病予防注射済証の提出がほぼ必須です。猫の場合は3種混合ワクチンの証明書があれば十分なケースがほとんどです。
ペットの写真提出を求める物件もあります。犬種や体の大きさを確認する目的で、申告内容と実際のペットに齟齬がないか確認するために行われています。
審査に通りやすくするための実践的なコツ
収入と家賃のバランスを見直す
ペット可物件は敷金が1ヶ月分多く設定されていることが多く、初期費用が膨らみやすい傾向があります。敷金2ヶ月・礼金1ヶ月の物件で家賃8万円なら、仲介手数料や保証料も含めて初期費用は40〜50万円前後です。この初期費用をスムーズに支払えるかどうかも審査のポイントになります。
預貯金の残高証明書を提出すると、収入が基準ギリギリの場合でもプラスの判断材料になります。フリーランスや個人事業主で収入にばらつきがある方は、直近3ヶ月分の通帳コピーか残高証明を用意しておくと効果的です。
家賃は手取り月収の3分の1以下に収めるのがセオリーですが、ペットの飼育費用も考慮すると4分の1程度に抑えるほうが現実的です。犬はフード代・医療費・トリミング代で月1〜3万円、猫もフード代・トイレ砂・医療費で月1〜2万円かかります。
勤務先情報と在籍確認への準備
保証会社の審査では勤務先に在籍確認の電話がかかることがあります。会社名・所属部署・直通電話番号を正確に記入し、在籍確認がある旨を事前に会社側に伝えておくとスムーズです。
転職して間もない場合、勤続年数の短さが不利に働くことがあります。前職の在籍期間を含めた職歴書や、現在の雇用契約書・内定通知書を添えると審査担当者の判断材料が増えます。勤続1年未満でも年収と家賃のバランスが適正なら通るケースが大半です。
ペットに関する書類を先回りで用意する
ペットの情報は聞かれてから出すのではなく、申込時にまとめて提出するのが効果的です。
| 書類 | 犬 | 猫 | 取得先 |
|---|---|---|---|
| 混合ワクチン接種証明書 | 必要 | あると望ましい | 動物病院 |
| 狂犬病予防注射済証 | 必須 | 不要 | 市区町村 |
| 畜犬登録の鑑札番号 | 必要 | 不要 | 市区町村 |
| マイクロチップ登録証明書 | あると望ましい | あると望ましい | 環境省データベース |
| ペットの全身写真 | 1〜2枚 | 1〜2枚 | 自分で撮影 |
前の住居でペットと暮らしていた実績がある場合は、書面に添えるのも有効です。「前住居で3年間ペットトラブルなし」という実績は大家さんにとって安心材料になります。前の管理会社から退去時の精算書を入手できれば証拠としても使えます。
不動産会社の担当者を味方につける
仲介の不動産会社は大家さんとの橋渡し役です。担当者に好印象を持ってもらえれば、大家さんに「この方なら安心です」と後押ししてくれることがあります。
内見時のマナー、連絡のレスポンスの速さ、必要書類を素早く準備する姿勢は担当者の印象に直結します。申込書の記入漏れや証明書のコピーが不鮮明といった細かい不備も、やりとりが増えるほど心証が下がりやすくなります。
連帯保証人を求められるケース
保証会社の利用が主流ですが、物件によっては保証会社と連帯保証人の両方を求められることがあります。高額物件やペットの飼育条件が厳しい物件でこの傾向が見られます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 続柄 | 2親等以内の親族(両親・兄弟姉妹)が一般的 |
| 収入 | 安定した収入(年収は家賃の36倍以上が目安) |
| 住居 | 持ち家だと望ましい |
| 年齢 | 65歳以下が望ましい |
| 居住地 | 国内在住であること |
2020年4月施行の民法改正で、個人が連帯保証人になる場合は極度額(保証の上限額)を契約書に明記することが義務化されました。極度額が記載されていない保証契約は無効です。極度額は家賃の24〜36ヶ月分が一般的で、家賃8万円なら192〜288万円が目安になります。
親族に連帯保証人を頼める方がいない場合は、保証会社のみで審査が完結する物件を優先して探しましょう。不動産会社の担当者にその旨を伝えれば、該当物件を絞って紹介してもらえます。
審査に落ちてしまった場合の再チャレンジ
審査に落ちた場合でも、別の物件で再挑戦すること自体に問題はありません。落ちた理由は通常開示されませんが、対策を立てるための推測は可能です。
| 推測される理由 | 対策 |
|---|---|
| 収入に対して家賃が高い | 家賃を1〜2万円下げた物件を検討 |
| 信用情報に問題がある | 独立系の保証会社を使える物件を選ぶ |
| ペットの飼育条件が合わない | 飼育条件が緩い物件に切り替える |
| 勤続年数が短い | 雇用契約書・給与明細を追加提出 |
| 書類の不備・印象の問題 | 不動産会社を変えて再申込み |
注意点として、短期間に複数の保証会社に申し込むと「多重申込」の記録が残り、不利になることがあります。LICC系の保証会社は加盟各社間で申込情報を共有しているため、同系列への連続申込は避けたほうが無難です。1件ずつ結果を待ってから次に進むのが得策です。
保証会社や大家さんの基準は物件ごとに異なるため、1度落ちたからといってすべてで落ちるわけではありません。保証会社の種類を変える、家賃帯を1万円下げるといった調整で通る可能性は十分にあります。
ペット可物件の審査にまつわる費用一覧
審査関連の費用と日数をまとめておきます。
| 項目 | 金額・日数の目安 |
|---|---|
| 保証料(初回・信販系) | 家賃の30〜50% |
| 保証料(初回・独立系) | 家賃の80〜100% |
| 保証料(更新) | 年1〜2万円 |
| 審査期間 | 3〜7営業日 |
| 敷金の上乗せ | 通常+1ヶ月分が多い |
| 初期費用の総額(家賃8万円) | 40〜50万円程度 |
敷金の上乗せ分は「ペットによる汚損・破損の修繕費に充てる」目的のもので、退去時に原状回復の必要がなければ返金されます。入居中に床や壁の保護対策をしておけば、退去時の修繕費を抑えて敷金の返還額を増やせる可能性があります。
よくある質問
Q. ペット可物件の入居審査は一般物件より厳しいですか?
ペットがいること自体がマイナス評価になる物件もありますが、最初からペット可として募集している物件では標準的な審査が行われます。一般物件より収入審査が厳しくなるケースはほとんどなく、むしろ「ペットの情報を丁寧に提出できる飼い主かどうか」が判断材料になることが多いです。
Q. 保証会社の審査に落ちたらどうすればいいですか?
信販系(クレジットカード系)の保証会社は過去の金融事故情報が影響しやすいため、LICC系または独立系の保証会社を使える物件に切り替えると通過しやすくなります。どの保証会社が使われているかは不動産会社に確認できます。複数の物件を並行して申込むことは避け、一つずつ進めるのが基本です。
Q. 連帯保証人が見つからない場合はどうすればいいですか?
保証会社のみの対応に切り替える交渉が可能です。現在の賃貸市場では保証会社のみで入居できる物件が大多数を占めており、連帯保証人なしで入居できるケースが増えています。不動産会社に「保証会社のみでの対応は可能ですか」と最初に確認しておくとスムーズです。
Q. 審査申込時にペットの情報はどこまで提出すべきですか?
種類・犬種(猫種)・年齢・体重・去勢避妊の有無・ワクチン接種の状況が基本セットです。さらに過去の賃貸でペット飼育のトラブルがなかったことを示す管理会社の証明書や、ペット保険の加入証明があると審査が通りやすくなります。
Q. ペット可物件の敷金は退去後に返ってきますか?
ペット起因の損傷がなければ返金されます。ただし契約書に「ペット特約として敷金1ヶ月分償却」の記載がある場合は、その分は最初から返ってきません。署名前に必ず「ペット分の敷金は全額預かりか償却か」を確認してください。
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参考情報
入居審査の収入基準(年収が家賃の36倍以上)は賃貸保証会社および不動産管理会社の一般的な審査基準に基づいています。保証会社の利用率(約8割)は国土交通省「家賃債務保証の現状」の調査データを参照しました。保証料の相場は主要保証会社の公開情報(2026年4月時点)に基づきます。保証会社の種類別の審査基準と保証料の目安はエース不動産・マネーフォワード等の不動産メディアの情報を参考にしています。民法改正(2020年4月施行)による極度額の義務化については法務省の公開資料を参照しました。
ペット可物件の入居審査は、支払い能力の確認に加えてペットの飼育条件との合致が判断材料になります。ワクチン証明書やペットの写真を申込時にまとめて提出し、飼い主としての誠実さを見せることが審査通過への近道です。
保証会社は信販系・LICC系・独立系で審査基準が異なり、保証料の相場にも差があります。信販系で不安がある場合は独立系の保証会社を使える物件を選ぶのも有効な戦略です。仲介手数料を抑えて浮いた分を保証料に回すなど、初期費用全体のバランスを見ながら物件を選んでいきましょう。