平日の朝、舎人公園でも駒沢公園でも、出勤前の散歩で犬とすれ違う人の数に毎回驚かされます。ペットを連れて23区で暮らしている人は思っている以上に多く、選び方次第で日々の散歩風景は大きく変わります。

東京23区の賃貸物件のうち、ペット飼育が可能な物件は全体の約15%。LIFULL HOME’Sの調査では、ペット相談可の単身者向け物件は通常より約1.3万円家賃が高いというデータもあり、エリア選びが費用にも直結します。

この記事では、ペット可物件が豊富なエリアを「物件の絶対数」と「全物件に占めるペット可の割合」の両面から整理し、家賃相場・無料ドッグラン詳細・夜間救急動物病院までを横断比較しました。

ペット可物件が多い東京23区ランキング — 物件数と割合の違いに注目

ペット可物件が多いエリアを探すとき、「物件数」だけを見ると判断を誤る場合があります。物件数が多い区は住宅地として面積が広く、母数が大きいだけのケースがあるためです。一方、タワーマンションや築浅物件が集まる都心部では、物件数は少なくてもペット可の割合が高い傾向が見られます。

物件の絶対数が多いエリアと、ペット可の割合が高いエリアを並べると、顔ぶれはかなり異なります。

区名ペット可物件数(目安)ペット可割合1K〜1LDK家賃相場
世田谷区約590件10%以下8.5〜11万円
大田区約480件10%台7.5〜10万円
練馬区約370件10%以下6.5〜8.5万円
杉並区約350件10%台7.5〜10万円
板橋区約330件10%台6.5〜8.5万円
足立区約310件10%以下5.5〜7.5万円
江戸川区約280件3.8%6.0〜8.0万円
中央区約410件31.5%11〜14万円
港区約260件20%台13〜18万円
江東区約300件20%台9〜12万円

物件数のデータはいい部屋ネット掲載数(2026年4月時点)を参考にした概算値、ペット可割合はアドバンスネットの調査データに基づく。家賃相場はSUUMO・HOME’S等の掲載データによる目安。

世田谷区は物件数では23区トップクラスですが、全体に占めるペット可の割合は10%を下回ります。一方で中央区は物件数こそ世田谷区並みながら、割合は31.5%と23区で最も高い水準です。湾岸エリアのタワーマンションにペット飼育可の物件が多いことが背景にあります。

「物件の数が多いエリアで広く探すか、割合が高いエリアで効率よく探すか」。この2つの切り口を意識するだけで、物件検索の進め方が変わってきます。

家賃を抑えてペットと暮らせるエリア — 足立区・葛飾区・板橋区

予算に限りがあるなら、城北・城東エリアが有力な候補になります。LIFULL HOME’Sが発表した「ペット相談可物件が多く家賃が安い駅ランキング(東京23区)」では、上位にこのエリアの駅が並びました。

順位駅名所在区家賃目安特徴
1位四ツ木葛飾区7万円台京成押上線。ドッグカフェやトリミングサロンが近隣にある
2位青井足立区7万円台つくばエクスプレス。青和ばら公園(約100品種880株)が徒歩圏
3位浮間舟渡北区7万円台JR埼京線。TOP10内で最もペット相談可物件数が多い

ランキングは「ペット相談可物件が500件以上ある駅」を対象にしたもので、TOP10のうち4駅が京成押上線の沿線です。家賃を抑えてペットと暮らしたい場合、京成押上線は見落とされがちな穴場路線といえます。

足立区の魅力は家賃の安さだけではありません。舎人公園には約63万平方メートルの敷地内に無料のドッグランが設置されており、休日は犬連れの家族で賑わいます。北千住駅には5路線が乗り入れ、都心へ20〜30分で出られる交通利便性も備えています。

葛飾区の水元公園は23区最大級の水郷公園で、こちらにも登録制の無料ドッグランがあります。荒川の河川敷は足立区・葛飾区の両方からアクセスしやすく、天気のいい日には何キロも続く河川敷を犬と歩けます。

板橋区はJR埼京線・東武東上線で池袋まで10〜15分という立地です。家賃は6.5〜8.5万円が中心帯で、城北中央公園にドッグランもあります。都心通勤と家賃のバランスを取りたい層に向いているエリアです。

散歩環境で選ぶなら — 世田谷区・練馬区・江戸川区の公園事情

ペット可物件が見つかっても、毎日の散歩コースが充実していなければ暮らしの満足度は上がりません。犬を飼っている場合はとくに、公園や緑道、ドッグランへのアクセスが日々のQOLに直結します。

世田谷区には駒沢オリンピック公園(約41万平方メートル)と砧公園(約39万平方メートル)という2つの大型公園があります。駒沢公園にあるドッグランは小型犬専用エリアと中・大型犬優先エリアに分かれていて、体格差を気にせず遊ばせることができます(都立12公園ドッグラン共通利用登録の対象)。砧公園にはドッグランの設置はありませんが、リードを着けて広い園路を犬と散歩できる環境が整っています。世田谷区内では蘆花恒春園にもドッグランがあり、サブ拠点として使い分けやすいです。呑川緑道や烏山川緑道といった緑道ネットワークも充実しており、住宅街のなかを犬と歩ける環境が区内に張り巡らされています。

練馬区の光が丘公園は約6万平方メートルの芝生広場を持ち、犬を思い切り走らせたい飼い主に人気の場所です。石神井公園は2つの池を囲む散歩コースがあり、水辺の景色を楽しみながら歩けます。家賃が世田谷区より2万円ほど安い水準で、散歩環境の充実度を考えるとコストパフォーマンスの高いエリアです。

江戸川区は公園面積が23区で最も広く(約756万平方メートル)、葛西臨海公園をはじめ水辺の散歩スポットが豊富です。篠崎公園にも無料ドッグランがあります。ファミリー世帯向けの2LDK以上の物件が多い傾向があり、広い部屋でペットと暮らしたい場合に向いています。ただし単身者向けの1Kはやや少なめです。

23区内の主な無料ドッグラン一覧

候補エリアを絞り込むうえで、無料ドッグランの分布は重要な判断材料です。23区内の代表的な無料ドッグランを公園面積・利用時間・登録方式で並べると、エリアによってアクセスのしやすさが大きく違います。

ドッグラン所在区最寄り駅利用時間登録方式
駒沢オリンピック公園世田谷区駒沢大学24時間(管理所受付9〜17時)都立12公園共通の事前WEB登録
蘆花恒春園世田谷区八幡山6:00〜22:00(夏季は5:00〜)都立12公園共通の事前WEB登録
舎人公園足立区舎人公園24時間(管理所受付9〜17時)都立12公園共通の事前WEB登録
水元公園葛飾区金町24時間(管理所受付9〜17時)都立12公園共通の事前WEB登録
篠崎公園江戸川区小岩・篠崎24時間(管理所受付9〜17時)都立12公園共通の事前WEB登録
城北中央公園板橋区上板橋24時間(管理所受付9〜17時)都立12公園共通の事前WEB登録
木場公園江東区木場24時間(管理所受付9〜17時)都立12公園共通の事前WEB登録
浜町公園わんわん広場中央区水天宮前平日7:00〜20:30、土日祝15:30〜20:30登録不要(中央区が運営)
芝浦中央公園ドッグラン港区田町6:00〜19:00(季節により変動)港区民登録(管理事務所窓口)

都立公園のドッグランは2024年度から共通WEB利用登録制度が導入され、1回の登録で対象12公園のドッグランすべてを利用できるようになりました。当年度の狂犬病予防注射済票と混合ワクチン接種証明書が必要です。城北・城東エリアに住んで、休日は世田谷区まで足を伸ばすといった使い分けがしやすくなっています。

都心で見つけるペット可物件 — 中央区・港区・江東区の湾岸エリア

「ペット可物件は郊外に多い」というイメージがありますが、湾岸エリアの都心3区では事情が異なります。中央区のペット可割合31.5%という数字は、23区の平均約15%を大きく上回っています。

都心でペット可物件が見つかりやすい理由は、湾岸エリアに集中するタワーマンションの多くがペット飼育を前提に設計されていることです。晴海・勝どき・豊洲といったエリアでは、ペット用足洗い場やマンション敷地内のドッグランを備えた物件も珍しくありません。中央区には築地川公園・晴海臨海公園・浜町公園の3か所に区立のドッグスペース(わんわん広場)が設置されており、区民登録すれば無料で利用できます。

家賃は1LDKで11〜18万円と郊外の1.5〜2倍になるものの、通勤時間が短くなるぶん、仕事帰りに散歩の時間を確保しやすいメリットがあります。江東区側ではお台場のシンボルプロムナード公園や豊洲ぐるり公園が大型犬の運動コースとして使えます。港区の芝浦中央公園にもドッグランがあり、品川駅周辺に勤務する飼い主には便利な立地です。

ただし、都心のタワーマンションは「小型犬1〜2頭まで」「猫は不可」といった条件が細かく設定されていることが多い点に注意が必要です。大型犬や多頭飼いの場合は、郊外エリアのほうが選択肢は広がります。タワーマンションのペット飼育規約は管理組合ごとにかなり違うため、内見時に「飼育可能な体重・頭数・種類」と「共用部の通行ルール(抱きかかえ要否、ペット用エレベーターの有無)」を必ず確認しておきましょう。

エリアを選ぶときに確認したい5つのポイント

候補エリアが絞れたら、物件探しの前に以下の情報を調べておくと、引越し後のミスマッチを防げます。

散歩環境の確認は、候補エリアに実際に足を運ぶのが確実です。平日の朝と休日の夕方では人通りや犬連れの多さが変わるため、できれば複数の時間帯に訪れてみてください。

動物病院は通常の診療だけでなく、夜間救急へのアクセスも確認しておきたいところです。東京23区内の主な夜間救急対応の動物病院には、TRVA動物医療センター(世田谷区深沢8-19-12)、ひがし東京夜間救急動物医療センター(江東区亀戸)、夜間救急動物病院 目黒(目黒区碑文谷)などがあります。自宅から車やタクシーで30分以内にたどり着ける病院が1か所あると安心です。詳しくは東京都の夜間救急動物病院まとめを確認してください。

ペットショップ・ホームセンターの有無も日常の利便性に影響します。島忠やカインズといった大型ホームセンターはペット用品の品揃えが充実しています。城北・城東エリアにはこうしたホームセンターが点在しており、日用品の補充には困りません。

自治体のペット条例も事前に確認しておくと安心です。犬の登録や狂犬病予防注射は全区共通で義務ですが、犬の散歩マナーについて独自のルールを設けている区もあります。各区の公式サイトで「犬の飼い方」「ペット飼育ルール」のページを見ておきましょう。

交通アクセスについては、通勤先までの所要時間を乗換案内で確認するだけでなく、ペット用品の買い出しに使うルートや、かかりつけ動物病院までの所要時間もあわせて調べておくと実用的です。

23区のペット可物件を探すときに使えるサービス

ペット可物件は通常の物件より家賃が高めに設定されるケースが多く、それに加えて敷金も1〜2か月分上乗せされることがあります。初期費用を少しでも抑えたい場合、仲介手数料の比較は見落とせないポイントです。

ポータルサイトで気に入った物件を見つけた場合でも、仲介手数料が安い不動産会社経由で同じ物件を契約できるケースがあります。ペット可物件専門の「ペットホームウェブ」や、仲介手数料割引のある「スマイリア」といったサービスを併用すると、物件の選択肢が広がると同時にコストも抑えやすくなります。

浮いた費用をペット飼育分の敷金上乗せに回したり、引越し後のペット用品購入に充てたりできるので、物件を決める前に複数のサービスを比較してみてください。

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参考情報

  • ペット可物件の割合データ: アドバンスネット「東京のペット共生賃貸住宅事情」(2026年4月確認)
  • 区別物件数の目安: いい部屋ネット(大東建託パートナーズ)東京都ペット可物件掲載数(2026年4月確認)
  • 駅別家賃ランキング: LIFULL HOME’S「ペット相談可物件が多く家賃が安い駅ランキング(東京都23区)」
  • ペット可物件の家賃上乗せ幅: LIFULL HOME’S調査(単身者向け物件で約12,778円高、ファミリー向けで約27,371円高)
  • ペット可賃貸の現状: PEDGE「ペット可賃貸の現状について」
  • 各エリアの家賃相場: SUUMO・HOME’S等の不動産ポータルサイト掲載データ(2026年4月確認)
  • 都立公園ドッグラン情報: 東京都公園協会公式サイト(2026年4月確認)。共通WEB利用登録は2024年度から運用
  • 区立ドッグラン・わんわん広場情報: 中央区・港区・各区公式サイト(2026年4月確認)
  • 夜間救急動物病院: 東京都獣医師会・各病院公式サイト(2026年4月確認)

まとめ

東京23区のペット可物件は全体の約15%で、エリアによって物件数も割合も大きく異なります。世田谷区・大田区は物件の絶対数が多く選択肢が豊富な一方、中央区・港区は割合が高く効率的に探せるという違いがあります。家賃を抑えたい場合は足立区・葛飾区・板橋区が有力で、京成押上線沿線は穴場です。

エリアを決める際は、家賃と物件数だけでなく、散歩環境・ドッグランの有無・夜間救急の動物病院へのアクセスまで含めて総合的に比較してみてください。仲介手数料の安いサービスを活用すれば、初期費用を抑えてエリアの選択肢を広げることもできます。

エリア別の詳しい情報は、世田谷区のペット可賃貸ガイド杉並区エリアガイド練馬区エリアガイドもあわせて参考にしてください。