ペット可物件は通常の賃貸より家賃が高めに設定される傾向があり、東京ではなおさらその差が目立ちます。LIFULL HOME’Sの調査によると、単身者向け物件ではペット相談可のほうが約1.3万円高い結果が出ています。とはいえ、エリアを工夫すれば家賃5万円台からペット可物件を見つけることは十分に可能です。

この記事では、東京でペット可物件の家賃が安いエリアを23区内・多摩地区・隣接県に分けて紹介し、ペットの種類別のおすすめエリアや入居時期の工夫まで踏み込んで解説します。

ペット可物件の「家賃上乗せ率」はエリアで差が出る

エリア選びの前に、ペット可物件がどの程度割高になるかを押さえておきましょう。東京の単身向け物件(5〜34平米)ではペット相談可の平均家賃が約98,800円、ペット不可が約86,000円で、差額は約12,800円です。ただし上乗せ率はエリアによってかなり開きがあります。

エリアペット不可1Kの目安ペット可1Kの目安上乗せ額(月額)上乗せ率
足立区4.5〜5.5万円5.0〜6.0万円約5,000円約10%
葛飾区4.5〜5.5万円5.0〜6.0万円約5,000円約10%
練馬区5.5〜6.5万円6.0〜7.0万円約5,000円約8%
世田谷区7.0〜9.0万円8.0〜10.5万円約10,000〜15,000円約15%
港区10.0〜14.0万円12.0〜17.0万円約20,000〜30,000円約18%

都心の人気区ほど上乗せ率が高くなるため、郊外を選ぶ効果は二重に効いてきます。ベースの家賃が安いうえに、ペット可による上乗せ幅も小さいからです。

敷金の追加もペットの種類で変わります。小型犬は敷金1ヶ月追加が一般的ですが、猫は爪とぎ被害を想定して2ヶ月追加とする物件が多く、大型犬は2〜3ヶ月の上乗せを求められることもあります。

家賃5万円台でペット可物件が見つかる23区エリア

LIFULL HOME’Sが発表した「ペット相談可物件が多く家賃が安い駅ランキング(東京都23区)」では、1位が葛飾区の四ツ木駅、2位が足立区の青井駅、3位が北区の浮間舟渡駅でした。TOP10には京成押上線の駅が4駅ランクインしており、同路線沿いはペットと暮らすなら注目のエリアです。

エリア1Kの家賃目安最寄り路線都心主要駅への所要時間動物病院数
足立区(竹ノ塚・西新井)5.0〜6.0万円東武スカイツリーライン北千住まで約10分60軒以上
葛飾区(金町・四ツ木)5.0〜6.0万円JR常磐線・京成押上線上野まで約20分40軒以上
江戸川区(小岩・瑞江)5.5〜6.5万円JR総武線・都営新宿線新宿まで約30分55軒以上
板橋区(成増・高島平)5.5〜6.5万円東武東上線・都営三田線池袋まで約15分45軒以上
練馬区(大泉学園・石神井公園)6.0〜7.0万円西武池袋線池袋まで約20分50軒以上
北区(赤羽・浮間舟渡)6.0〜7.0万円JR京浜東北線・埼京線新宿まで約20分35軒以上

足立区と葛飾区は23区内で最も家賃が安い水準にあり、1Kのペット可物件が5万円前後で出回っています。2LDKでも8万円台から見つかることがあるため、犬猫と広めの部屋で暮らしたい方にも現実的な選択肢になるでしょう。

多摩地区・隣接県まで広げれば4万円台も狙える

23区外の多摩地区や隣接県に目を向けると、家賃はもう一段下がります。

エリア1Kの家賃目安主要駅への所要時間散歩環境
八王子市4.0〜5.5万円JR中央線で新宿まで約50分多摩丘陵の自然。公園多数
町田市4.5〜6.0万円小田急線で新宿まで約35分芹ヶ谷公園、薬師池公園
立川市5.0〜6.5万円JR中央線で新宿まで約30分昭和記念公園(ドッグランあり)
川口市(埼玉)4.5〜6.0万円JR京浜東北線で東京まで約30分荒川河川敷、グリーンセンター
松戸市(千葉)4.0〜5.5万円JR常磐線で上野まで約25分21世紀の森と広場(約50万m2)

川口市は足立区のすぐ北に位置し、荒川を渡るだけで家賃が5,000円〜1万円ほど下がります。アリオ川口や川口キャスティなど商業施設も充実しています。松戸市は金町駅から常磐線で1駅の距離で、21世紀の森と広場は犬連れでの散歩に最適な広大な公園です。

月額トータルコストで比較する

家賃だけでなく、交通費やペット関連の支出も含めた月額トータルで考えましょう。

項目足立区(竹ノ塚)練馬区(大泉学園)八王子市
家賃(1K・ペット可)55,000円65,000円45,000円
ペット敷金の月割(2年)2,300円2,700円1,900円
通勤交通費(新宿まで定期・月)約12,000円約10,000円約18,000円
ペット用品・フード・健診月割8,700円8,700円8,700円
月額トータル目安約78,000円約86,400円約73,600円

八王子市は家賃の安さが交通費の高さを上回り、トータルでは最も安くなります。ただし通勤に片道50分かかる点には留意が必要です。足立区は家賃と交通費のバランスが良く、通勤時間も短め。練馬区はやや割高に映りますが、石神井公園や大泉中央公園のドッグランが徒歩圏にあり、散歩環境の充実度では頭ひとつ抜けています。

ペットの種類別おすすめエリア

飼っているペットの種類によって、物件の探しやすさや暮らしやすさは異なります。

ペットの種類おすすめエリア理由
小型犬(チワワ、トイプードル等)葛飾区(四ツ木・金町)、足立区物件数が多く家賃が安い。散歩は近隣の公園で十分
中大型犬(柴犬、ラブラドール等)練馬区(大泉学園)、八王子市広い部屋が安く借りられる。大型犬用ドッグランが近い
猫(1頭)足立区(竹ノ塚)、板橋区(高島平)1K・1DKの安い物件が多い。猫は散歩不要のため駅距離を妥協でき、さらに安く狙える
猫(多頭飼い)八王子市、町田市2DK以上が4〜5万円台で見つかる。多頭飼い可は郊外に集中
大型犬(ゴールデンレトリーバー等)八王子市、府中市、川口市大型犬可の物件は希少。郊外で広めの物件を探すのが現実的

猫は散歩に出る必要がないため、「駅から遠い」物件をあえて選ぶのも有効な戦略です。駅徒歩15分以上で家賃は数千円下がることが多く、室内で過ごす猫にとってデメリットはほとんどありません。大型犬は飼育可能な物件自体が23区内では極端に少ないため、多摩地区や隣接県も含めた広い範囲での物件探しが前提になるでしょう。

入居時期で家賃を下げる

不動産業界には繁忙期と閑散期があり、ペット可物件もその影響を受けます。

時期市場の状態ペット可物件への影響
1〜3月繁忙期物件は多いが競争激しい。家賃交渉はほぼ不可
6〜8月閑散期空室を埋めたいオーナーが増え、家賃交渉が通りやすい
11〜12月閑散期年内に決めたい心理で交渉の余地が最も大きい

6〜8月と11〜12月がペット可物件を安く借りるベストタイミングです。特に11月は敷金の上乗せ分を減額してもらえたり、フリーレント(入居後1ヶ月分の家賃無料)がついたりするケースも見られます。

散歩環境に恵まれた公園・ドッグラン

家賃が安いエリアは、ペットとの暮らしやすさでは都心を上回ることが少なくありません。

公園名所在区広さドッグラン特徴
舎人公園足立区約65万m2あり(登録制・無料)中大型犬・小型犬エリア分離
水元公園葛飾区約96万m2あり(約3,500m2)都内随一の広さ。24時間開放
葛西臨海公園江戸川区約81万m2なし海沿いの開放感。芝生広場が広い
光が丘公園練馬区約60万m2なし広い芝生・バードサンクチュアリ。散歩コースとして人気
大泉中央公園練馬区約10万m2あり(大型犬・小型犬分離)駅から近い

水元公園のドッグランは約3,500平方メートルと都内随一の広さで、利用登録(Web申請・無料)を済ませると代々木公園や駒沢オリンピック公園を含む都立12公園のドッグランが共通で使えるようになります。荒川・多摩川・江戸川の河川敷も郊外エリアからアクセスしやすく、数キロにわたる長距離の散歩コースが確保できるのは大きなメリットでしょう。

安いペット可物件を探すときの注意点

家賃5万円台のペット可物件は築20年以上が中心になりがちです。築古自体は問題ありませんが、内見時には水圧、結露の痕跡、壁の薄さをチェックしてください。

「ペット可」の条件も物件ごとに異なります。退去時の原状回復について「ペットによる損傷はすべて借主負担」と明記されている場合、修繕費が大きくなるリスクがあります。入居時に室内の状態を日付入りの写真で記録し、クラウドストレージに保存しておくと、退去時の証拠として役立ちます。

仲介手数料は不動産会社によって家賃1ヶ月分から大幅に割引されるケースがあります。家賃5.5万円の物件で半額になれば約2.7万円の節約です。ポータルサイトで気に入った物件を見つけたら、仲介手数料の安い不動産会社で同じ物件を扱えないか確認してみましょう。

よくある質問

Q. 足立区や葛飾区はペット可物件の数が本当に多いのですか?

はい、多いです。SUUMOの掲載状況でも23区内でペット可物件の供給が安定しているエリアで、1Kが5万円台から見つかる物件が複数あります。物件の回転が早い都心エリアと違い、選考の余裕があるのも特徴です。

Q. 東京で猫を飼うなら駅から遠い物件を狙うのが得策ですか?

猫は散歩に出る必要がないため、駅から徒歩15分以上の物件を意図的に選ぶ戦略は有効です。駅距離が遠いだけで家賃が数千円下がるケースも多く、猫が室内中心の生活を送る分には立地のデメリットはほとんどありません。

Q. 大型犬を飼っている場合、東京ではどのエリアが現実的ですか?

23区内で大型犬可の物件は極端に少なく、多摩地区や隣接県まで範囲を広げるのが現実的です。八王子市・府中市・川口市などは2LDK以上の大型犬可物件が見つかりやすく、家賃も6〜8万円台から選択肢があります。

Q. 築古のペット可物件は退去費用が高くなりますか?

築年数よりも契約書の特約内容が退去費用を左右します。「ペットによる損傷はすべて借主負担」と明記されている場合、入居時の状態記録(日付入り写真)が退去時の交渉材料になります。内見時に壁の傷や床の状態を確認し、既存の損傷は書面で確認しておくことが重要です。

Q. ペット可物件の閑散期に引越すと家賃交渉できますか?

6〜8月と11〜12月は賃貸市場の閑散期で、空室を埋めたいオーナーが増えます。ペット可物件でも家賃の1,000〜3,000円引きや、フリーレント(入居後1ヶ月分の家賃無料)が付くケースが見られます。交渉のタイミングとしては11月が最も余地が大きい時期です。

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参考情報

各エリアの家賃相場はSUUMO・LIFULL HOME’S等の不動産ポータルサイトの掲載データ(2026年4月確認)に基づく概算値です。LIFULL HOME’Sの駅ランキングは同社が2023年2月に発表したプレスリリースを参照しています。ペット可物件の上乗せ率はLIFULL HOME’Sの掲載データ(2025年調査)を参考に算出しています。ドッグランの利用ルールは東京都公園協会の公式サイト(2026年4月確認)を参照しています。動物病院の軒数は各区の動物病院検索サイトの登録数に基づく概算です。

東京でペット可物件を安く借りるなら、足立区・葛飾区・江戸川区・板橋区あたりの23区郊外エリアが家賃5万円台からの候補になります。23区外の多摩地区まで視野を広げれば4万円台も見えてきますし、川口市や松戸市といった隣接県ならさらに選択肢が広がるでしょう。

小型犬なら葛飾区の四ツ木・金町、大型犬なら八王子市や府中市というように、ペットの種類に合わせたエリア選びも有効です。6〜8月や11〜12月の閑散期を狙えば家賃交渉の余地も生まれます。家賃とあわせて仲介手数料や敷金の条件も見直しを行い、初期費用をトータルで抑えていきましょう。