猫用のトイレ、キャットタワー、フード、キャリーバッグ。「猫を飼おう」と決めてペットショップやホームセンターを回ってみたら、買うべきものが想像以上に多くて予算オーバーした — そんな話は珍しくありません。
猫の費用は本体の価格ばかり注目されがちですが、実際にお金が必要になるのはグッズの購入や初回の医療費、脱走防止対策まで含めた「迎え入れの準備一式」です。どの方法で猫を迎えるかによっても費用は大きく変わるため、事前に項目ごとの相場を押さえておくと資金計画を立てやすくなります。
迎え入れ方法別の費用比較
猫を迎える方法は大きく3つ。それぞれの初期費用には数万円から数十万円の開きがあります。
| 迎え入れ方法 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ペットショップ | 10万〜40万円 | 人気猫種は高額。即日連れて帰れることも |
| ブリーダー | 10万〜35万円 | 猫種の専門知識が豊富。親猫を確認できる |
| 保護猫(譲渡) | 0〜30,000円 | 譲渡費用のみ。成猫が中心 |
ペットショップの猫種別相場
ペットショップでの販売価格は猫種と月齢で幅があります。スコティッシュフォールドやマンチカンといった人気猫種は20万〜40万円の価格帯が中心。ブリティッシュショートヘアやアメリカンショートヘアなど安定した人気の猫種は15万〜25万円程度で、ミックス猫や月齢が進んだ個体は10万円前後まで下がることもあります。
毛色や目の色も価格に影響する要素です。スコティッシュフォールドの折れ耳タイプは立ち耳タイプより5万〜10万円ほど高くなる傾向があり、希少な毛色はさらに上乗せされます。
ペットショップによってはワクチン接種済み・マイクロチップ装着済みの状態で販売されており、費用が価格に含まれているケースもあります。ワクチン1回分(3,000〜6,000円相当)やマイクロチップ(3,000〜5,000円相当)が込みか別途か、購入前に必ず確認してください。
ブリーダーからの購入
ブリーダーからの購入は、ペットショップと同程度かやや安い価格帯が中心です。アビシニアンやラグドールで15万〜30万円、メインクーンやノルウェージャンフォレストキャットなどの大型猫種で20万〜35万円が相場になっています。
ブリーダー最大の利点は、親猫の健康状態や性格を直接確認できること。遺伝性疾患のスクリーニングを実施しているブリーダーもおり、将来の医療リスクについて情報を得たうえで判断できます。
遠方のブリーダーから迎える場合は、引き渡し時の交通費や空輸費が追加で5,000〜20,000円ほどかかります。見学に行く際の交通費も考慮に入れておきましょう。
保護猫を迎える場合
保護団体や自治体の動物愛護センターから譲り受ける場合、猫本体の購入費用はかかりません。ただし譲渡時にワクチン接種費用、不妊手術費用、マイクロチップ装着費用などの実費として5,000〜30,000円程度を求められるのが一般的。団体によっては「譲渡費用」として一括で設定しているところもあります。
保護猫は成猫が多い傾向ですが、春から初夏にかけては子猫の保護頭数が増えます。成猫には「性格がすでにわかっている」「避妊去勢手術が済んでいることが多い」という利点があり、初めて猫を飼う方にも安心感のある選択肢です。
譲渡には事前審査があり、飼育環境の確認や脱走防止策のチェックを受けるケースがほとんど。賃貸住まいの場合はペット飼育可の契約書コピーを求められることもあるため、準備しておきましょう。
初期に必要なグッズの費用
猫を迎える前に揃えておくアイテムと費用の目安を一覧にしました。
| アイテム | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| トイレ本体 | 2,000〜5,000円 | システムトイレが管理しやすい。デオトイレ、ニャンとも清潔トイレが定番 |
| 猫砂(1ヶ月分) | 500〜1,500円 | 鉱物系・木製・紙製など種類は猫の好みで選ぶ |
| 食器(フード用・水用) | 1,000〜3,000円 | 浅めの広口タイプが猫向き。陶器製が安定感あり |
| キャットフード(1ヶ月分) | 2,000〜5,000円 | ロイヤルカナンやヒルズなどの総合栄養食 |
| キャットタワー | 5,000〜15,000円 | 高さ120cm以上が理想。据え置き型か突っ張り型 |
| 爪とぎ | 500〜2,000円 | 段ボール製が手軽。麻縄タイプは耐久性が高い |
| キャリーバッグ | 3,000〜8,000円 | 通院・災害時の避難に必須。上開きタイプが便利 |
| ベッド・クッション | 1,000〜3,000円 | 洗濯可能なカバー付きが衛生的 |
| おもちゃ | 500〜2,000円 | じゃらし系+ボール系を数種類 |
| ブラシ | 500〜2,000円 | 短毛猫はラバーブラシ、長毛猫はスリッカーブラシ |
グッズの合計は最低限で16,000〜46,000円ほど。キャットタワーのグレードで金額は変わりますが、猫は上下運動を好む動物なので、タワーへの投資は日々の運動量と生活の質を大きく左右します。
犬と比べると散歩グッズ(首輪・リード・マナー袋)やトリミング用品が不要なぶん初期のグッズ費用はやや抑えめ。ただし猫トイレの初期導入コストは犬のペットシーツよりやや高い傾向があります。
初回の医療費
迎えた直後の医療費も初期費用に含めて計算しておく必要があります。
| 項目 | 費用の目安 | タイミング |
|---|---|---|
| 健康診断 | 3,000〜5,000円 | 迎えてすぐ。便検査・触診・聴診 |
| 混合ワクチン(3種) | 3,000〜5,000円/回 | 子猫は2〜3回接種 |
| 混合ワクチン(5種) | 5,000〜8,000円/回 | 外出する可能性がある猫向け |
| マイクロチップ装着 | 3,000〜5,000円 | 未装着の場合。2022年6月から販売業者に義務化 |
| ノミダニ予防薬 | 1,000〜1,500円/月 | 通年推奨。スポットタイプが一般的 |
| 避妊手術(メス) | 20,000〜35,000円 | 生後6ヶ月前後が目安 |
| 去勢手術(オス) | 10,000〜20,000円 | 生後6ヶ月前後が目安 |
子猫の場合、混合ワクチンの複数回接種が必要で、3種ワクチンを3回打つとワクチン代だけで9,000〜15,000円。避妊・去勢手術も含めると、初年度の医療費は30,000〜60,000円程度を見積もっておくとよいでしょう。
保護猫の場合はワクチン接種や避妊・去勢手術が済んでいることが多く、初回医療費は健康診断とノミダニ予防程度で済むケースがほとんど。この差だけで2万〜4万円ほど初期費用を抑えられます。
初期費用の総額 — 迎え入れ方法別に比較
すべてを合算した総額をまとめました。
| 費用項目 | ペットショップ | ブリーダー | 保護猫 |
|---|---|---|---|
| 猫の購入・譲渡費用 | 10万〜40万円 | 10万〜35万円 | 0〜3万円 |
| 初期グッズ | 1.6万〜4.6万円 | 1.6万〜4.6万円 | 1.6万〜4.6万円 |
| 初回医療費 | 3万〜6万円 | 3万〜6万円 | 0.5万〜2万円 |
| 合計 | 14.6万〜50.6万円 | 14.6万〜45.6万円 | 2.1万〜9.6万円 |
保護猫なら初期費用は10万円以下に収まることが多い一方、ペットショップやブリーダーからの購入では15万〜50万円の出費が見込まれます。どの迎え方であっても、グッズと医療費で最低5万円前後は共通してかかる点を押さえておいてください。
猫ならではの追加費用 — 脱走防止と壁の保護
完全室内飼いが基本の猫には、犬にはない特有の出費項目があります。
脱走防止対策は優先度の高い支出です。窓用の脱走防止柵は3,000〜10,000円、玄関用のペットゲートは5,000〜15,000円程度で設置可能。賃貸物件なら突っ張りタイプのペットゲートが原状回復を気にせず使えて便利です。網戸のロック(100〜500円)も忘れがちですが、夏場の脱走事故を防ぐ必須アイテムといえます。
壁や家具の保護も初期に対策しておくと安心。猫は爪とぎの習性があるため、壁の保護シート(2,000〜5,000円)や家具用ひっかき防止スプレー(500〜1,000円)を用意しておくと、退去時の原状回復費用を大幅に減らせます。ペット可物件でも壁紙の張り替え費用は借主負担になるケースが多いので、入居直後から対策を講じておくのがおすすめです。
| 猫特有の追加アイテム | 費用の目安 |
|---|---|
| 脱走防止柵(窓用) | 3,000〜10,000円 |
| ペットゲート(玄関用) | 5,000〜15,000円 |
| 壁の保護シート | 2,000〜5,000円 |
| 網戸ロック | 100〜500円 |
| 家具用ひっかき防止スプレー | 500〜1,000円 |
これらを合計すると5,600〜31,500円が上乗せされます。
初期費用を抑えるコツ
費用を抑えたい場合でも、猫の健康や安全に関わる出費は削らないのが鉄則です。節約ポイントとそうでないポイントを切り分けて考えましょう。
キャットタワーは新品にこだわらなければ、フリマアプリで定価の半額以下で手に入ることがあります。DIYに抵抗がなければカラーボックスを組み合わせて段差を作る方法もあり、材料費は3,000円程度。ただし安定性の確認は必須で、転倒して猫がけがをしては本末転倒です。
猫砂やフードのまとめ買いは単価を下げるのに効果的です。Amazonの定期おトク便やロハコのまとめ割を活用すれば、年間で5,000〜10,000円程度の節約に。100円ショップのペット用品も年々品質が上がっており、おもちゃやグルーミングブラシは消耗品として割り切って使うぶんには問題ありません。ダイソーの猫じゃらし(110円)は食いつきが良いと評判のコスパ代表格です。
一方、トイレ本体やキャリーバッグ、フードの品質には妥協しない方が結果的にコストを抑えられます。安価なトイレは砂が飛び散りやすく掃除の手間が増えますし、品質の低いフードは体調不良のリスクを高めて医療費の増加につながります。
毎月のランニングコストも計算に入れておく
初期費用だけでなく、毎月かかる固定費も事前に把握しておくと安心です。
| 項目 | 月額の目安 |
|---|---|
| フード | 2,000〜5,000円 |
| 猫砂 | 500〜1,500円 |
| ノミダニ予防 | 1,000〜1,500円 |
| ペット保険 | 1,500〜3,000円 |
| おやつ | 300〜1,000円 |
| 消耗品(爪とぎ交換など) | 300〜1,000円 |
| 合計 | 5,600〜13,000円 |
ペット保険に加入しない場合でも、月5,000〜10,000円程度は毎月の飼育費として見込んでおく必要があります。年間に換算すると6万〜15万円で、年1回のワクチン接種(3,000〜8,000円)と健康診断(3,000〜5,000円)が加わります。初期費用とランニングコストの両面を把握してから迎え入れると、経済的に安定した猫との暮らしをスタートできるはずです。
関連記事: 猫を飼う費用の完全ガイド。月額・年間・生涯コストを解説 関連記事: 猫を飼うと月いくら? 一人暮らしの費用内訳と隠れコスト 関連記事: 犬猫の去勢・避妊手術の費用。助成金を使って安くする方法
参考情報
この記事の費用データは、一般社団法人ペットフード協会「2024年 全国犬猫飼育実態調査」の飼育費用データ、各ペットショップ・ブリーダーサイトの価格情報(2026年4月確認)、および日本獣医師会の診療料金調査を参考にしています。マイクロチップ装着義務化については、2022年6月施行の改正動物愛護管理法に基づいています。猫種ごとの販売価格は時期や個体の特徴によって変動します。