矢川緑地は犬連れで散歩できます。東京都の自然保全地域に指定されている湿地帯ですが、リード着用・排泄物持ち帰りなどの基本マナーを守れば犬と一緒に歩けるスポットです。JR南武線の矢川駅から徒歩約10分、来園者が少なく、犬と静かに歩きたい飼い主にとって都内屈指の穴場といえます。

矢川緑地だけなら30分ほどで一周できますが、矢川の流れに沿って多摩川まで足を延ばしたり、国立駅の大学通りと組み合わせたりすれば、たっぷり半日の散歩コースになります。この記事では犬連れで歩く際のルート、注意点、季節ごとの見どころ、周辺の立ち寄りスポットまでまとめました。

エリア別ペットルール

矢川緑地は東京都の自然保全地域ですが、都市公園のように犬を全面禁止する規定はありません。ただし、通常の公園より厳格な自然保護のマナーが求められます。

エリアペット同伴備考
矢川緑地保全地域(木道・散策路)リード必須。木道以外への立ち入りは自粛
矢川沿い遊歩道住宅街の中の遊歩道。リード着用
多摩川河川敷(国立〜府中)広い草地でのびのび歩ける
大学通り(国立駅〜谷保)歩道が広く犬連れの定番コース
谷保天満宮 境内可(マナー厳守)境内の散歩道は犬連れも見かける

東京都環境局の公式サイトでは、矢川緑地保全地域について以下のように説明されています。

立川段丘の崖線下に位置する湧水湿地であり、東京の名湧水57選にも選出されている。面積は約2.1ヘクタール。ヨシ・ガマ群落やスダジイ林が残る、多摩地域でも貴重な湿地環境。

(出典: 東京都環境局「自然保全地域」2026年4月確認)

保全地域ならではの配慮として、湿地帯の植物(ミクリなど)を犬が踏み荒らさないよう、散策路から外れないことが大切です。水路への犬の立ち入りもできる限り避けてください。

矢川緑地の基本情報

項目情報
所在地東京都国立市泉2丁目(立川市との境界付近)
最寄り駅JR南武線 矢川駅(徒歩約10分)/ JR南武線 西国立駅(徒歩約10分)
面積約2.1ヘクタール
利用時間常時開放(照明設備なし)
料金無料
駐車場専用駐車場なし。近隣にコインパーキングが数カ所あるが台数は少ない
トイレ緑地入口付近に1カ所
指定1977年、東京都の自然保全地域に指定。東京の名湧水57選にも選出

矢川駅の南口を出て、住宅街の間を縫うように南西へ進みます。緑地の入口には案内板が設置されていて、木道の配置や散策路の全体像を確認できます。西国立駅からもアクセスでき、そちらからだと緑地の北側(樹林地エリア)に出ます。

犬連れ散歩の3つのルート

矢川緑地を起点に、距離と体力に応じて3パターンのルートが組めます。

ルート1: 矢川緑地の周回コース(約1km / 所要20〜30分)

緑地内の木道と土の小径をぐるりと回るルートです。南側の湿地帯では木道の両脇にヨシやガマが茂り、足元を湧水が静かに流れていきます。北側には雑木林が広がり、コナラやケヤキ、カツラの木陰を歩けます。街中の公園とはまるで違う密度の自然に、犬も飼い主もリフレッシュできるはずです。

木道区間は幅が狭く、すれ違いに気を遣う場面があります。大型犬は木道の段差や幅の狭さにやや不向きで、小型犬〜中型犬のほうが歩きやすいでしょう。雨上がりは木道が滑りやすくなるため、足元への注意も必要です。

このルートだけでは距離が短いので、体力のある犬にはルート2・3と組み合わせるのがおすすめです。

ルート2: 矢川沿い〜多摩川河川敷コース(約3km / 所要40〜60分)

矢川緑地を出発し、矢川の流れに沿って南へ歩くルートです。矢川は緑地付近から流れ出して国立市内を南東に下り、約1.5kmで府中用水に合流します。この流れの終点は「矢川おんだし」と呼ばれ、地元の人にとっては親しみのある場所です。

矢川沿いの遊歩道は住宅街の中を通りますが、水路沿いに木陰が続くため夏場でも比較的涼しく歩けます。府中用水に合流した先をさらに南へ進むと、多摩川の河川敷に出ます。国立市と府中市の境界付近にあたるこのエリアは、草地が広がり視界が一気に開けます。平日はほとんど人がおらず、河原でのんびり休憩するのにぴったりです。

多摩川まで出たら、河川敷を東へ歩いて是政橋方面に向かうこともできます。是政橋の近くには西武多摩川線の是政駅があるので、帰りは電車を使うという選択肢もあります。大型犬でも思い切り歩けるルートです。

ルート3: 国立駅〜大学通り〜矢川緑地コース(約4km / 所要60〜90分)

JR国立駅をスタートし、大学通りのイチョウ並木を南下して矢川緑地まで歩くロングコースです。復原された赤い三角屋根の旧国立駅舎を背に南へまっすぐ伸びる大学通りは、歩道が広く、街路樹の下をゆったり歩けます。一橋大学のキャンパスを横目に見ながら進む道は、犬の散歩コースとして地元でも定番になっています。

大学通りを抜けて谷保駅方面に向かい、さらに南西へ進めば矢川緑地に到着します。途中で谷保天満宮に立ち寄ることもでき、約6,000坪の境内は緑豊かな自然林と湧水に恵まれた静かな空間です。東京都の天然記念物に指定されている社叢を横目に歩くのは、この街ならではの贅沢でしょう。

全行程を歩くと体力を使うので、シニア犬や小型犬の場合は矢川駅をゴールにして電車で帰るなど、無理のない計画を立ててください。

自然保全地域でのマナーと注意点

矢川緑地は東京都の自然保全地域に指定されています。一般的な公園とは管理の考え方が異なるため、犬連れで訪れる際にはいくつかの点に注意が必要です。

リードは必ず装着し、短めに持つことが基本です。放し飼いは禁止されています。木道以外のエリアに犬が踏み込むと、湿地帯の植物を傷めてしまう恐れがあるため、散策路から外れないよう誘導してください。

湧水の水路に犬が入りたがることがありますが、水路には希少な水生植物(ミクリなど)が生育しています。生態系の保全という観点から、水路への立ち入りは避けるよう配慮が求められます。

排泄物の持ち帰りは当然として、液体の排泄についてもできるだけ散策路から離れた場所でさせるなど、自然環境への気遣いを忘れないようにしましょう。湿地帯は匂いが残りやすく、野鳥や昆虫への影響も懸念されます。

ボランティア団体「矢川ふれあいボランティア」が草刈りや湿地管理などの保全活動を行っています。散策路の状態は季節によって変わるため、入口の掲示板で最新情報を確認してから歩き始めると安心です。

季節ごとの見どころと犬連れの注意

春(3月下旬〜5月)

矢川緑地では新緑が芽吹き、水路沿いにせせらぎの音が心地よく響きます。ルート3を選ぶなら、大学通りの桜並木が見事です。大学通りとさくら通りには合わせて約360本の桜が植えられており、見頃は3月下旬から4月上旬にかけて。ソメイヨシノ、ヤマザクラ、シダレザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンザクラなど品種も多彩で、歩くだけで花見が楽しめます。

4月上旬には谷保第三公園で「くにたちさくらフェスティバル」が開催されます。会場周辺は人出が多くなるため、犬連れの場合は時間帯をずらすか、大学通り側でゆっくり花見散歩をするのがよいでしょう。

春先は雨が多く、緑地内のぬかるみが増える時期でもあります。汚れてもよい靴で出かけてください。犬の足裏もどろどろになるので、タオルを1枚余分に持っておくと帰りが楽です。

夏(6月〜8月)

湿地帯のヨシやガマが青々と茂り、トンボやチョウが盛んに飛び交います。視覚的には一年でもっとも豊かな時期ですが、犬連れにとっては蚊の多さが最大の難点です。湿地帯という環境上、都内の公園と比べても蚊の密度がかなり高くなります。

犬用の虫よけスプレーに加えて、飼い主も長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を減らして臨んでください。散策は朝の早い時間帯か夕方の風がある時間帯に絞ると、多少は蚊の被害を軽減できます。暑さ対策として犬用の携帯水ボトルも必携です。

多摩川河川敷まで足を延ばす場合、河原には日陰がほとんどありません。夏場のルート2は早朝に限定するのが賢明です。

秋(9月〜11月)

気温が落ち着き、犬連れ散歩にもっとも適した季節です。矢川緑地ではススキやヨシが風に揺れ、秋らしい風景が広がります。

ルート3の大学通りでは、11月中旬から12月上旬にかけてイチョウ並木が黄金色に染まります。桜の時期と並んで大学通りがもっとも美しくなる季節で、黄色い落ち葉の絨毯の上を犬と歩くのは格別です。紅葉シーズンは散歩する人が増えますが、桜ほどの混雑にはならないため、犬連れでもゆったり楽しめます。

冬(12月〜2月)

落葉した雑木林の向こうに冬の空が透けて見え、夏場とはまったく違う開放感があります。冬鳥の飛来シーズンでもあり、バードウォッチングを楽しむ来園者もちらほら見かけます。犬が急に動いて鳥を驚かせないよう、リードの管理にはいつも以上に気を配りたいところです。

木道が凍結する朝もあるため、滑りにくい靴を選んでください。犬も滑って足を痛めることがあるので、凍結がひどい日は木道を避けて土の散策路を歩くほうが安全です。冬場は日没が早く、緑地内に照明設備はないため、明るいうちに散策を終えるよう余裕を持った計画を。

周辺スポットと散歩コースの組み合わせ

国立駅周辺のペット可カフェ

国立駅の南口から大学通り沿いには、テラス席で犬同伴が可能なカフェがいくつかあります。

スターバックスコーヒー国立店(東1丁目)はテラス席で犬同伴OK。朝7時から営業しているため、朝の散歩帰りにコーヒーを一杯、という使い方ができます。大学通りに面していて、並木を眺めながら休憩できるのもポイントです。

大学通り沿いのカフェは犬同伴可否がチェーンごとに異なるため、訪問前に各店舗の公式情報を確認してください。

矢川駅周辺

矢川駅周辺はカフェの選択肢が限られるため、犬用の水やおやつは事前に準備しておくのが無難です。矢川の遊歩道沿いには自動販売機がところどころあるので、飼い主の水分補給には困りません。

くにたち野菜工房 中道カフェ(国立市富士見台4-12-11)は地元野菜を使ったメニューが特徴。犬同伴可否は店舗に確認してください。矢川駅から徒歩圏で、散歩の合間の休憩に向いています。

谷保天満宮

JR南武線の谷保駅から徒歩3分。東日本最古の天満宮として知られ、約6,000坪の境内は東京都の天然記念物に指定された社叢に囲まれています。境内には湧水が流れ、梅園もあり、散歩の途中に立ち寄ると気持ちのよい寄り道になります。ルート3で大学通りから矢川緑地へ向かう途中に組み込みやすい場所です。

城山さとのいえ

矢川緑地から北西に10分ほど歩いた泉5丁目にある市の施設です。農業体験や地域のイベントが開催されており、周辺は畑と緑に囲まれた穏やかな雰囲気。散歩の足を延ばすには程よい距離感です(開館時間 9:00〜17:00、第2・第4木曜休館)。

車でのアクセスと駐車場事情

矢川緑地には専用駐車場がありません。車で訪れる場合は、矢川駅周辺のコインパーキングを利用することになりますが、台数が少ないため休日は埋まっていることもあります。

国立駅周辺にはコインパーキングが比較的多いので、ルート3のように国立駅から歩き始めるプランなら駐車場の確保は容易です。駅前の駐車場に停めて、大学通りを経由して矢川緑地まで歩き、帰りは矢川駅から南武線で一駅戻って国立駅へ、という周回ルートも効率的です。

多摩川河川敷まで足を延ばす場合、府中市側の是政橋付近にはいくつか駐車場があります。ただし河川敷の利用ルール(バーベキューシーズンの混雑など)は時期によって変わるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

犬種別の向き不向き

犬種タイプおすすめルート補足
小型犬ルート1(緑地周回)木道の幅も問題なし。距離も短く負担が少ない
中型犬ルート1+ルート2緑地を回ってから多摩川まで。ちょうどよい運動量
大型犬ルート2またはルート3緑地の木道は狭いので通過程度に。河川敷で思い切り歩ける
シニア犬ルート1のみ平坦で短距離。木道の段差だけ注意
パピールート1(短めに)湿地帯の泥や水たまりに入りたがるので目を離さない

問い合わせ先

散策路の状態や保全地域のルールについて不明な点がある場合は、管理団体に直接確認するのが確実です。

項目内容
管理東京都環境局 自然環境部
電話042-573-4378(くにたち郷土文化館、周辺施設の案内)
公式情報東京都環境局 矢川緑地保全地域
住所東京都国立市泉2丁目

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参考情報

  • 東京都環境局「自然保全地域 — 矢川緑地保全地域」(2026年4月確認)
  • 国立市公式サイト「矢川緑地」(2026年4月確認)
  • 各店舗のペット同伴ルールは公式サイト・SNS(2026年4月確認)に基づく