犬や猫を飼っていると、夏も冬もエアコンをつけっぱなしにする生活が当たり前になります。一人暮らしや共働き世帯では日中の留守中もエアコンを切れないため、月々の電気代がじわじわ膨らんでいく感覚に頭を抱える方は多いのではないでしょうか。

エアコンの24時間稼働だけで年間3万〜6万円、空気清浄機やペットヒーターも含めると年間5万〜8万円の追加出費になることもあります。この記事では季節ごとの電気代試算、犬猫の適温目安、月1,000〜3,000円を浮かせる節約テクニックをまとめました。

エアコン24時間稼働の電気代を季節別に試算する

エアコンの消費電力は機種・設定温度・外気温・部屋の広さ・断熱性能で大きく変わります。ここでは6〜10畳用エアコン(消費電力500〜800W)を基準に、電力単価31円/kWh(公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定める2024年度の目安単価)で計算しました。

季節設定温度 / 外気温の想定1日あたりの電気代月間の増加額年間の累計
夏(6〜9月)冷房27度 / 外気32度100〜170円約3,000〜5,000円12,000〜20,000円
冬(11〜3月)暖房22度 / 外気5度130〜220円約4,000〜6,500円20,000〜32,500円
春秋(4〜5月、10月)送風 or 不使用0〜50円0〜1,500円0〜4,500円
年間合計約32,000〜57,000円

冬のほうが電気代は高くなります。理由はシンプルで、冷房は「32度を27度に下げる(差5度)」のに対し、暖房は「5度を22度に上げる(差17度)」と、温度差が3倍以上あるためです。外気温がマイナス5度を下回る寒冷地では、暖房代がさらに月1,000〜3,000円上乗せされるケースも見られます。

ダイキン工業の調査(2023年)では、犬の飼い主の83.4%が夏場の暑さ対策を実施している一方、猫の飼い主は66.5%にとどまっています。猫も28度を超えると熱中症のリスクが高まるため、犬猫問わずエアコンの24時間稼働を前提にした電気代計算が必要です。

エアコン以外にも増える。ペット飼育世帯の電気代の全体像

ペット飼育で増える電気代はエアコンだけではありません。空気清浄機、ペットヒーター、見守りカメラなど、ペット関連の家電が電気代をじわじわ押し上げます。

家電消費電力の目安24時間稼働時の月額電気代稼働時期
エアコン(6〜10畳)500〜800W3,000〜6,500円夏・冬
空気清浄機10〜70W230〜1,600円通年
ペットカメラ(見守り用)5〜15W110〜340円通年
自動給水器3〜5W70〜110円通年
ペットヒーター(電気マット)40〜60W900〜1,400円
サーキュレーター20〜40W450〜900円夏・冬

ペット関連家電をすべて稼働させると、エアコンを含めた夏場の月間増加額は5,000〜9,000円、冬場は6,000〜11,000円です。年間では5万〜8万円の上乗せになることもあります。ペットのいない一人暮らし世帯の月間電力使用量が150〜200kWhなのに対し、ペット飼育世帯では300〜400kWhに達することがあるのは、こうした「エアコン以外」の積み上げが原因です。

つけっぱなしとこまめな入切、どちらが安いか

「留守中もつけっぱなしはもったいない」と感じるかもしれませんが、エアコンは起動時に最も電力を消費します。室温が設定温度から大きく離れた状態で起動すると、設定温度に到達するまでの30分〜1時間が電力消費のピークです。

ダイキン工業の実測実験(2016年公開「エアコン節電情報」)では、外気温30度超の夏場に9時間外出する場合でも、つけっぱなしと入切の電気代差はわずか35円程度。数時間の外出であればつけっぱなしのほうがむしろ安くなるケースもあります。ペットの安全面も踏まえれば、「留守中もつけっぱなし」が電気代・健康の両面で合理的な判断です。

ただし春秋は事情が異なります。窓を開けて自然の風を入れるだけで快適な温度を維持できる時期は、エアコンを止めて電気代をゼロにできるチャンスです。不要な時期はしっかり止めるメリハリが年間の節約につながります。

犬と猫の適温は何度?設定温度の正解を犬種別に整理

エアコンの設定温度を決めるとき、「人間が快適な温度」をそのまま適用するのは避けたいところです。犬種や猫種によって適温は大きく異なり、短頭種や北方犬種は特に注意が必要になります。

ペットの種類夏の適温冬の適温湿度の目安電気代への影響
小型犬(チワワ、トイプードル等)25〜28度20〜23度40〜60%標準的
短頭種(パグ、フレブル等)22〜25度20〜23度40〜60%夏場は低温設定で電気代が月500〜1,000円高くなる傾向
大型犬・北方犬種(ハスキー等)22〜26度18〜22度40〜60%冬の暖房が控えめで済むため月500円ほど安い傾向
猫(短毛種)23〜26度20〜23度50〜60%標準的
猫(長毛種:ペルシャ等)22〜25度18〜22度50〜60%夏場はやや低温設定が必要

短頭種(パグ、フレンチブルドッグ等)は鼻腔が狭く呼吸で体温を下げるのが苦手なため、夏場は25度以下のキープが安全ラインです。その分だけ電気代は月500〜1,000円高くなります。北方犬種(ハスキー等)は寒さに耐性があるため、冬の暖房代を抑えやすい傾向です。

猫は高い場所を好む習性があり、キャットタワーの上段では室温計の表示より2〜3度高い温度になっていることがあります。冬に暖房を効かせすぎると、高い場所にいる猫にとっては暑すぎる環境になるため、サーキュレーターで空気を循環させて温度差を解消するのが有効です。

電気代を月1,000〜3,000円下げる5つの節約テクニック

エアコンを止めるという選択肢がない以上、「いかに効率よく稼働させるか」が現実的なアプローチです。個々の施策は月数百円の効果でも、複数を組み合わせると月1,000〜3,000円、年間で12,000〜36,000円の差が生まれます。

サーキュレーターで空気を循環させる

サーキュレーターの消費電力はエアコンの10分の1以下(約20〜40W)。空気を循環させることで設定温度を1〜2度控えめにしても体感温度が変わらなくなり、月500〜1,000円の節約効果が見込めます。アイリスオーヤマのPCF-SC15T(実勢価格約4,500円)はDCモーター搭載で静音モード35dB以下と運転音が静かなため、音に敏感なペットがいる家庭にも向いています。

窓の断熱をDIYで強化する

住宅の熱の約50〜70%は窓を通じて出入りしています。窓の断熱対策はエアコンの負荷を直接的に下げるため費用対効果が高い施策です。

対策費用の目安節約効果賃貸での注意点
遮熱カーテン3,000〜8,000円夏の室温を2〜3度低下退去時にそのまま外すだけ
断熱シート(窓に貼る)500〜1,500円冬の暖房効率を10〜20%向上水貼りタイプなら跡が残らない
プチプチ(気泡緩衝材)100〜300円断熱+結露防止テープ跡に注意。マステで対策

ニトリの遮光1級・遮熱カーテン(実勢価格3,000〜6,000円)は1シーズンで元が取れることもあります。プチプチも見た目こそ地味ですが断熱効果は侮れません。

ペット用ひんやりグッズを併用する

エアコンの設定温度を1度上げられれば、月の電気代は約10%(300〜600円)下がります。ペット用のひんやりグッズを併用すれば、エアコンの温度を少し高めに設定しても犬や猫が快適に過ごせる環境をつくれます。

ニトリのNクールペット用敷きパッド(実勢価格1,500〜2,500円)は接触冷感素材で体温を効率よく逃がす構造で、電気代はゼロです。マルカンのひんやりクールアルミプレート(実勢価格約1,500円)はアルミの放熱性を利用したタイプで洗う手間がなく衛生的。冬場はドギーマンの「レンジでチンしてぽっかぽか」(実勢価格約1,200円)のような電子レンジ式湯たんぽを使えば、電気代をかけずに局所的な暖かさを確保できます。非電動グッズの活用だけで年間3,600〜7,200円の節約につながります。

フィルターを月1回掃除する

フィルターにホコリが詰まるとエアコンの効率が低下し、余分な電力を消費します。環境省「COOL CHOICE」の試算では、フィルター掃除で消費電力を約5〜10%削減できるとされています。ペットのいる家庭では抜け毛がフィルターに絡みやすいため、月1回の掃除を習慣にしましょう。換毛期(春と秋)は2週間に1回が理想です。

電力会社やプランを見直す

ここまでの4つは「使い方の工夫」ですが、最もインパクトが大きいのは電力会社やプランそのものの切り替えです。月間使用量が300kWhを超えるペット飼育世帯では、プラン変更だけで月500〜2,000円安くなるケースがあります。

大手電力会社の従量電灯プランは使用量が増えるほど単価が上がる3段階制です。ペット飼育世帯のように月間300〜400kWhを使う家庭は最も単価が高い第3段階に到達しやすいため、新電力の一律単価プランに切り替えるだけで大きな差が出ます。引越しのタイミングは電気の開通手続きが必ず発生するので、ついでに安いプランへ切り替えれば追加の手間もかかりません。

スマートリモコンで留守中の室温を管理する

エアコンをつけっぱなしにしていても、突然の故障や停電で室温が急変するリスクはゼロではありません。スマートリモコンを導入すれば、外出先からスマホで室温を確認してエアコンの設定を変更できます。

SwitchBot ハブミニ(実勢価格約5,480円)にSwitchBot温湿度計(実勢価格約1,980円)を組み合わせると、室温が設定範囲を超えたときにスマホへ通知が届きます。「室温が30度を超えたらエアコンの冷房を自動でON」といった自動化も可能です。Nature Remo mini 2(実勢価格約4,980円)は温度センサーを内蔵しており、1台で完結します。どちらも既存のエアコンにそのまま使え、工事は不要です。

初期費用は5,000〜8,000円ですが、出先で「エアコン止まってないかな」という不安から解放される安心感があります。

熱中症・低体温症を見逃さないためのチェックリスト

電気代を抑えたいあまり設定温度を上げすぎると、ペットの命に関わる事態を招くことがあります。総務省消防庁の統計では熱中症患者の約38%が「住居」で発症しており、室内だから安全とは限りません。

症状犬のサイン猫のサイン対処法
熱中症・初期安静時にも激しいパンティング口を開けて呼吸(猫は通常鼻呼吸)エアコンの温度を下げ、水を飲ませる
熱中症・中〜重度よだれ、ぐったり、嘔吐ぐったり、痙攣、反応なし濡れタオルで冷やし動物病院へ
低体温症・初期体の震え、丸まって動かない耳や肉球が冷たい暖房をつけ毛布で保温
低体温症・重度意識低下、呼吸が浅い反応がなくなる急激な加温は避け動物病院へ

猫が口を開けて呼吸している時点で明らかな異常です。涼しい場所に移動させ、改善しなければ速やかに動物病院へ連絡してください。

まとめ

エアコンの24時間稼働で夏場は月3,000〜5,000円、冬場は月4,000〜6,500円の電気代が増え、年間では約3〜6万円の追加出費になります。サーキュレーター、断熱対策、ひんやりグッズ、フィルター掃除を組み合わせれば月1,000〜2,000円、電力プランの切り替えでさらに月500〜2,000円の節約が見込めます。ペットの健康を守る適温は維持しつつ、無理のない範囲で電気代を最適化していきましょう。

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参考情報

電気代試算は6〜10畳用エアコン(消費電力500〜800W)を基準に電力単価31円/kWh(全国家庭電気製品公正取引協議会の2024年度目安単価)で算出。つけっぱなしと入切の比較はダイキン工業「エアコン節電情報」(2016年)、設定温度1度あたりの変動(約10%)とフィルター掃除の効果(5〜10%削減)は環境省「COOL CHOICE」に基づいています。暑さ対策実施率はダイキン工業調査(2023年)、住居内の熱中症発症割合は総務省消防庁統計を参照。製品価格は2025年12月時点の実勢価格です。