荒川河川敷は、犬連れでの散歩が可能です。国土交通省 荒川下流河川事務所が策定した「荒川下流河川敷利用ルール」では、犬のノーリード(放し飼い)とフンの放置が禁止行為として明記されています。裏を返せば、リードを着用し、排泄物を持ち帰る限り、犬と一緒に河川敷を歩くことは自由です。
赤羽から葛西臨海公園まで約25km。幅が数百メートルに達する区間もある都内屈指の広大な緑地帯は、公園のように柵で囲われた空間とはまったく違う、空の広さと解放感が犬との散歩にはたまりません。北区、足立区、葛飾区、江戸川区と複数の区にまたがるため、自宅から出やすいアクセスポイントを選べるのも利点です。
エリア別のペットルール
荒川下流河川敷利用ルール(国土交通省 荒川下流河川事務所、令和4年7月改定)に基づくペット関連のルールです。
| エリア | ペット同伴 | 備考 |
|---|---|---|
| 河川敷の遊歩道・芝生 | 可(リード必須) | ノーリードは禁止行為(法律等で禁止) |
| サイクリングロード(緊急用河川敷道路) | 可(リード必須) | 自転車は時速20km以下が目安。歩行者優先 |
| 野球場・サッカー場 | 試合中は避ける | グラウンド使用中はフィールド内に入らない |
| 岩淵水門広場 | 可(リード必須) | 撮影スポットとして人気 |
| 新田わくわく水辺広場 | 可(リード必須) | 水辺に近い区間は犬の落水に注意 |
| 堀切水辺公園 | 可(リード必須) | 6月の花菖蒲の季節が見頃 |
荒川下流河川事務所の公式サイトでは、禁止行為として以下のように明記されています。
犬のノーリードやペットなどのフンの放置は禁止です。
出典: 国土交通省 荒川下流河川事務所「荒川下流河川敷利用ルール」(2026年4月確認)
このルールは荒川河口から笹目橋までの約30km区間に適用されます。東京都の動物愛護条例でもリードなしの散歩は違反にあたるため、広い芝生を見ても犬のリードは外さないでください。
エリア別の散歩ガイド
赤羽・岩淵水門エリア(北区)
| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 最寄り駅 | JR赤羽駅東口(徒歩約20分)、東京メトロ南北線 赤羽岩淵駅(徒歩約15分) |
| 駐車場 | 荒川赤羽緑地駐車場(土日祝のみ利用可・有料) |
| トイレ | 荒川知水資料館(amoa)付近、岩淵水門広場付近 |
| おすすめ距離 | 岩淵水門〜荒川赤羽桜堤緑地の往復で約4km |
| 路面 | 舗装路+芝生+土の遊歩道 |
赤羽岩淵駅の1番出口を出て新荒川大橋方面に歩くと、15分ほどで河川敷に降りられます。上流方向に進むと見えてくるのが、荒川と隅田川の分岐点にある岩淵水門です。
大正13年に竣工した旧岩淵水門(通称「赤水門」)は2024年8月に国の重要文化財に指定されており、赤いアーチが印象的な撮影スポットです。犬と記念写真を撮る飼い主の姿も多く見かけます。現在の治水機能を担う新岩淵水門(通称「青水門」)と合わせて2つの水門が並ぶ光景は、この区間ならではのものです。
水門周辺には荒川知水資料館(amoa)があり、館の周囲にはベンチや芝生スペースが整備されています。散歩の途中で一息つくのにちょうど良い場所です。
赤水門から上流方向に足を延ばすと、荒川赤羽桜堤緑地に入ります。土手の斜面には約100本の桜が植えられており、3月下旬から4月上旬は花のトンネルの下を歩けます。芝桜も斜面を彩るため、春は特に見応えのある散歩コースです。
足立区エリア(千住〜新田周辺)
| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 最寄り駅 | JR・東武・日比谷線・つくばエクスプレス 北千住駅(徒歩約15分) |
| 駐車場 | 荒川河川敷運動公園駐車場(運動施設利用者向け) |
| トイレ | 虹の広場付近、新田わくわく水辺広場内 |
| おすすめ距離 | 千住新橋〜西新井橋の往復で約6km |
| 路面 | 舗装路+草地 |
荒川河川敷の中で最も幅が広い区間が、足立区内に集中しています。野球場やサッカー場が何面も並ぶほどのスペースがあり、グラウンドが使われていない平日の朝や夕方は、広々とした芝生の上を犬と歩ける穴場です。
北千住駅から河川敷に出ると、上流方向にも下流方向にも歩けるため、その日の気分でコースを変えられます。上流方向の千住新橋を越えたあたりにある「虹の広場」は、カラータイルで舗装された広場で、公衆トイレの壁に虹がペイントされた目印になるスポットです。
足立区の新田地区には「新田わくわく水辺広場」が整備されています。上流部・中流部・下流部の3つのエリアに分かれた約11ヘクタールの広場で、園路沿いには距離表示があるため、散歩の距離を把握しやすいのが特長です。中流部には深さの異なる4つの池が水路でつながっており、水辺の生き物を観察しながら歩けます。日陰が少ない区間が続くため、夏場は早朝の散歩をおすすめします。
葛飾区エリア(四ツ木〜堀切周辺)
| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 最寄り駅 | 京成線 四ツ木駅(徒歩約10分)、京成線・東武線 堀切駅(徒歩約10分) |
| 駐車場 | 周辺にコインパーキングあり(河川敷内には少ない) |
| トイレ | 堀切水辺公園付近 |
| おすすめ距離 | 四ツ木〜堀切の往復で約5km |
| 路面 | 舗装路+草地 |
下流域にあたる葛飾区の河川敷は、遮るものがほとんどない開けた景色が魅力です。四ツ木付近からは荒川越しに東京スカイツリーが根元付近まで見通せる、知る人ぞ知るビュースポットになっています。夕暮れ時にスカイツリーがオレンジ色に染まる光景は、カメラ好きの間でも人気があります。
平日は散歩やジョギングの人がちらほらいる程度で、休日と比べると格段に空いています。人混みが苦手な犬や、他の犬とすれ違うと興奮してしまうタイプの犬には、平日のこのエリアが向いています。
堀切駅周辺の河川敷には堀切水辺公園が隣接しており、6月の花菖蒲の季節には散歩コースに変化を加えられます。
ワンウェイ散歩という選択肢
荒川河川敷は複数の鉄道路線と交差しているため、「片道だけ河川敷を歩いて、帰りは電車」というワンウェイ散歩が成立します。赤羽岩淵駅から河川敷に入り、北千住方面に向かって歩いて北千住駅から電車で帰る、といったルートです。
片道5〜6kmの距離を一方向に歩けるため、体力のある犬種にはうってつけの散歩方法です。途中で疲れても最寄り駅まで15分程度で出られる区間が多いので、無理のない計画を立てやすいはずです。
サイクリングロードとの共存
荒川河川敷を歩くうえで最も注意が必要なのが、自転車との共存です。河川敷の舗装路はロードバイク愛好者の定番コースとして知られ、特に週末の午前中は時速20〜30kmで走る自転車が頻繁に通過します。
荒川下流河川敷利用ルールでは、歩行者優先が基本原則です。自転車は「いつでも止まれるスピードで走行すること(目安として時速20km以下)」と定められています。とはいえ実際にはスピードを出す自転車も少なくないため、歩行者の側も注意が必要です。
犬と散歩する際に心がけたいのは3つ。舗装路ではなく並行する草地や歩行者用の遊歩道を歩くこと。伸縮リードの使用を避けること(犬が不意に舗装路側にはみ出す危険があるため、長さ1.2m程度の固定長リードが適しています)。リードを持つ手は舗装路と反対側にすること。これだけで自転車との接触リスクは大きく下がります。
季節ごとの散歩のポイント
春(3〜5月)
河川敷沿いの桜並木と菜の花が最大の見どころです。赤羽桜堤緑地の桜は3月下旬から4月上旬が見頃で、土手一面に広がる菜の花の黄色と桜のピンクのコントラストは、写真映えする景色として知られています。花見シーズンの週末は人出が増えるため、リードを短めに持って歩きましょう。
夏(6〜8月)
早朝の川面から上がる涼風が心地よい季節ですが、日中の河川敷は日陰がほとんどなく、舗装路の表面温度は50度を超えることもあります。散歩は日の出直後か、日没前の時間帯に限定してください。犬用の携帯水筒は必ず持参してください。
夏の荒川河川敷で気をつけたいのが花火大会です。足立の花火は例年5月末〜7月に荒川河川敷で開催されます。花火の音が苦手な犬は少なくないため、開催日の前後は河川敷での散歩を避けた方が無難です。
秋(9〜11月)
気温が落ち着き、散歩に最も適した季節です。すすきの穂が風に揺れる河川敷は、夏とは打って変わって落ち着いた雰囲気になります。夕暮れ時の空のグラデーションは河川敷ならではの広さで楽しめるため、日没1時間前くらいに散歩を始めるのがおすすめです。
冬(12〜2月)
空気が澄んで視界が遠くまで届き、条件がよければ赤羽付近の河川敷から富士山が見えることもあります。川沿いは風が吹き抜けるため、体感温度は市街地より数度低くなることがあります。小型犬や短毛種には防寒ウェアの着用を検討してください。
犬連れ散歩の注意点
排泄物の処理と水分補給
河川敷にはゴミ箱が設置されていない区間がほとんどです。排泄物用の袋と、尿を流すための水を必ず持参してください。水飲み場は運動施設や広場の付近に限られ、数kmにわたって見当たらない区間もあります。夏場は犬用の携帯水筒と折りたたみ式のウォーターボウルがあると安心です。
足元の危険物に注意
河川敷は公園と違って管理が行き届いていない区間があり、ガラスの破片や釣り針、バーベキューの残骸などが落ちていることがあります。草むらの中は特に視認しづらいため、犬が何かを拾い食いしないよう注意しながら歩いてください。
増水時は立入禁止
台風や大雨の後は河川敷が冠水していることがあります。水が引いた直後も地面がぬかるんでおり、流木やゴミが散乱している場合があるため、増水の情報が出たら数日間は河川敷を避けましょう。荒川下流河川事務所の公式サイトで水位情報を確認できます。
ノミ・ダニの予防
河川敷の草むらにはノミやダニが生息しています。散歩後は犬の体を丁寧にチェックし、季節に応じたノミ・ダニ予防薬の投与を続けておくと安心です。
周辺のドッグラン
荒川の河川敷自体にはフェンスで囲われたドッグランはありませんが、川沿いにはいくつかのドッグランが点在しています。
荒川運動公園ドッグラン(川口市)は、JR京浜東北線川口駅から徒歩約20分の場所にある無料のドッグランです。大型犬エリアと小型犬エリアに分かれており、河川敷の長距離散歩と組み合わせて利用する飼い主が多くいます。
問い合わせ先
河川敷の利用ルールや増水情報に関する問い合わせ先です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管理者 | 国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所 |
| 電話 | 03-3902-2311(代表) |
| 所在地 | 東京都北区志茂5-41-1 |
| 公式サイト | 荒川下流河川事務所 |
| 利用ルール | 荒川下流河川敷利用ルール |
参考情報
- 国土交通省 関東地方整備局 荒川下流河川事務所「荒川下流河川敷利用ルール」(令和4年7月改定、2026年4月確認)
- 墨田区「新・荒川河川敷利用ルールについて」(2026年4月確認)
- 東京都「動物の愛護及び管理に関する条例」
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