愛犬家の約90%が自家用車を保有し、93%が3ヶ月に1回以上は犬と一緒に外出しているというデータがあります(Wan!Pass調査、n=2,882)。ドッグランや動物病院、帰省先への移動まで、車は犬との暮らしに欠かせない移動手段です。

ところが、何も準備しないまま犬を車に乗せると、走行中の飛び出し事故や車酔い、シートへの爪痕・泥汚れといったトラブルが起こりやすくなります。実は道路交通法にも犬の乗せ方に関する規定があり、違反すると反則金を取られるケースも。

この記事では、犬と車でお出かけするときに揃えておきたいグッズ15点を「安全対策」「車内保護」「快適・衛生」の3ジャンルに分けて紹介します。体重別の選び方と具体的な商品名・価格もまとめたので、はじめてグッズを揃える方はもちろん、買い替えを検討している方も参考にしてください。

犬用ドライブグッズ15選 ― ジャンル別一覧

すべてを一度に買い揃える必要はありません。安全対策グッズ(クレート or ドライブハーネス)を最優先にし、そこからシートカバー、水分補給グッズと徐々に拡充するのが現実的です。

ジャンルグッズ主な用途価格帯(税込)
安全対策クレート(ハードタイプ)走行中の安全確保。衝突時の保護力が最も高い5,000〜30,000円
安全対策ドライブボックス小型犬用の座席固定ボックス。外が見える1,600〜10,000円
安全対策ドライブハーネスシートベルトに接続して犬を固定880〜5,000円
安全対策飛び出し防止リードドア開閉時の脱走防止800〜2,000円
車内保護シートカバー(ハンモック型)後部座席の毛・爪痕・泥汚れ防止+落下防止2,000〜8,000円
車内保護トランクマットラゲッジスペースの汚れ・傷防止5,000〜12,000円
車内保護サンシェード(窓用)直射日光の遮断。車内温度の上昇抑制1,000〜2,000円
快適こぼれにくいウォーターボウル走行中の振動で水がこぼれない設計1,000〜3,000円
快適携帯ウォーターボトルSA/PAや目的地での水分補給800〜2,000円
快適冷感マット夏場の暑さ対策。ジェルタイプ or 素材タイプ1,500〜4,000円
快適フリースブランケット冬場の保温。犬が自分で温度調節できる1,000〜3,000円
衛生ペットシーツ車内での粗相対策500〜1,000円/パック
衛生粘着クリーナー抜け毛の即時除去300〜800円
衛生消臭スプレー車内のにおい対策500〜1,500円
その他迷子札・鑑札ホルダー万が一の脱走時の身元特定500〜2,000円

価格帯は主要ECサイト(Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング)の掲載価格を参考にした2026年4月時点の相場です。

体重別グッズ選びの早見表

犬の体重によって適切なグッズが変わります。特にクレートとドライブボックスはサイズ選びを間違えると安全性に直結するため、体重別の選び方を整理しました。

項目小型犬(〜7kg)中型犬(7〜20kg)大型犬(20kg〜)
安全確保の第一候補ドライブボックス or クレート(S)クレート(M〜L)クレート(L〜XL)
おすすめ設置場所後部座席(助手席はエアバッグの危険あり)後部座席 or ラゲッジスペースラゲッジスペース
クレートの目安サイズ幅40×奥行55×高さ35cm前後幅45×奥行65×高さ50cm前後幅55×奥行80×高さ60cm前後
シートカバーのタイプ座面カバーでも可ハンモック型がおすすめハンモック型+トランクマット
車酔いのしやすさやや酔いやすい(子犬は特に注意)個体差あり比較的酔いにくいが油断禁物
予算の目安(最低限)5,000〜8,000円8,000〜15,000円15,000〜30,000円

小型犬のドライブボックスは手軽ですが、高速道路を長距離走る場合はハードクレートのほうが衝突時の保護力で勝ります。「近所の公園に行くだけ」ならドライブボックス、「高速を使って遠出する」ならクレートと使い分けるのが合理的です。

安全対策グッズの選び方と具体的な商品

走行中に犬が車内を自由に動き回ると、急ブレーキ時に犬が投げ出されてケガをしたり、運転者の足元に入り込んでペダル操作を妨げたりする危険があります。安全対策は「あれば安心」ではなく「ないと危険」です。

クレート/ケージ ― 安全性で選ぶなら第一候補

走行中の安全確保でもっとも信頼性が高いのはハードタイプのクレートです。万が一の衝突事故でも犬が車内に投げ出されるリスクを大幅に減らせます。普段からクレートトレーニングをしている犬なら、車内でもリラックスして過ごしやすいのも利点です。

選ぶポイントは3つあります。犬が中で立ち上がって方向転換できるサイズであること。プラスチック製のハードタイプを選ぶこと。そしてシートベルトやラゲッジネットで車体に固定できる構造であること。固定されていないクレートは急ブレーキ時にスライドするため、車体への固定は必須です。

商品名メーカー対応体重参考価格(税込)特徴
キャンピングキャリー ファイン Sリッチェル〜8kg約4,950円シートベルト固定対応、水洗い可
キャンピングキャリー ファイン Mリッチェル〜12kg約6,600円ダブルドア仕様、3色展開
キャンピングキャリー Lリッチェル〜20kg約15,000円中型犬対応、丈夫なプラスチック製
バリケンネル ウルトラ Mペットメイト〜14kg約12,000円IATA基準クリア、飛行機にも対応
バリケンネル ウルトラ Lペットメイト〜23kg約16,000円耐衝撃性に優れた構造

リッチェルのキャンピングキャリーは国内で入手しやすく、シートベルト固定にも対応しているため、はじめてクレートを買う方には扱いやすい選択肢です。海外ブランドのバリケンネルはIATA(国際航空運送協会)基準をクリアしており、飛行機での移動も視野に入れるなら候補になります。

ドライブボックス ― 小型犬の近距離移動に

チワワ、トイプードル、ポメラニアンなど体重7kg以下の小型犬に向いています。座席の上に設置するボックスで、犬が中に入って外の景色を見られる高さがあるため、景色を見たがる犬にはクレートより快適に過ごせることもあります。

商品名メーカー対応体重参考価格(税込)特徴
ドライブボックス Mアイリスオーヤマ〜8kg約5,240円メッシュ屋根付き、持ち手で持ち運び可
DRIVING CUSHIONマンダリンブラザーズ〜7kg約9,680円おしゃれなデザイン、カバー洗濯可
ドライブボックスottostyle.jp〜10kg約5,980円リバーシブルクッション付き

飛び出し防止リード(ボックス内のフックとハーネスを接続するもの)が付属しているか、購入前に確認してください。付属していない場合は別途用意します。

ドライブボックスは横転時の保護力ではクレートに劣るため、高速道路を長距離走るときはクレートのほうが安心です。

ドライブハーネス ― 手軽に始められる安全対策

後部座席のシートベルトに接続して犬の動きを制限するアイテムです。クレートやドライブボックスより手軽で、価格も880円前後から手に入るため、導入のハードルが低いのが特徴です。

首輪に直接つなぐタイプは急ブレーキ時に首に大きな負担がかかります。胴回りで支えるハーネス型を選んでください。MKUTO製のペット用シートベルト(約880円)はAmazonでも評価が高く、手頃な入門アイテムです。

ただし、ハーネスだけでは衝突時の保護力が不十分な点は理解しておく必要があります。クレートと比べると安全性は一段下がるため、あくまで「クレートを嫌がる犬」や「短距離移動」での選択肢と考えてください。

車内保護グッズの選び方

犬の爪による座席の傷、泥汚れ、抜け毛は車を汚す三大原因です。後部座席に犬を乗せる場合、シートカバーを1枚敷くだけで掃除の手間が劇的に変わります。

シートカバーには大きく2タイプあります。座面だけを覆う「フラットタイプ」と、前席のヘッドレストから後部座席までハンモック状に張る「ハンモック型」です。

ハンモック型は犬が足元に落ちるのを防ぎ、前席への移動もブロックできるため、安全対策の副次的な効果もあります。VOOPH製のドライブシート(約3,184円)は4層構造のオックスフォード生地で防水性に優れ、ドッグラン帰りの泥だらけの犬をそのまま乗せても座席を守ってくれます。RAKU製のドライブシート(約2,998円)もアンカーストラップ付きでずれにくく、洗濯機で丸洗いできるのが便利です。

大型犬をラゲッジスペースに乗せる場合はトランクマットも用意しましょう。荷室の形状に合わせてカットできるタイプを選ぶと隙間なくカバーできます。

犬を車に乗せるときの法律上の注意点

意外と知られていませんが、犬の乗せ方によっては道路交通法違反になることがあります。知らなかったでは済まされないので、主な違反パターンと罰則を整理しておきます。

違反行為根拠法令反則金違反点数
犬を膝の上に乗せて運転道路交通法第55条第2項(乗車積載方法の制限)普通車6,000円1点
犬が窓から顔を出した状態で走行道路交通法第70条(安全運転義務違反)普通車9,000円2点
犬がペダル周辺に入り込んで運転操作を妨害道路交通法第70条普通車9,000円2点

助手席に犬を乗せること自体は法律上の禁止事項ではありません。ただし、犬を固定せずに助手席に乗せると、エアバッグの展開で犬が重傷を負うリスクがあるうえ、運転の妨げになれば安全運転義務違反に問われます。犬は後部座席またはラゲッジスペースに乗せて固定するのが原則と考えてください。

犬の車酔い ― サインの見分け方と段階的な克服法

犬も人間と同じように車酔いをします。特に子犬や車に慣れていない犬は酔いやすい傾向があり、ある獣医師によると「犬の車酔いの相談は月に数件は必ずある」ほど一般的な悩みです。

車酔いの3段階サイン

犬は「気持ち悪い」と言えないため、行動の変化から車酔いを察知する必要があります。

段階犬のサイン飼い主がとるべき対応
初期あくびが増える、口をくちゃくちゃする、落ち着きがなくなる窓を少し開けて外気を入れる。可能なら車を停める
中期よだれが大量に出る、震える、ぐったりするすぐに車を停めて外の空気を吸わせる。水を少量与える
後期嘔吐する無理に移動を続けない。15〜30分休憩をとる

初期のサインが出た段階で車を停めて休憩すれば、そのまま回復するケースが多いです。嘔吐に備えてペットシーツとビニール袋は常に車内に置いておいてください。

車酔いを防ぐための実践ポイント

車酔いの原因は三半規管への刺激と精神的なストレスの複合です。この2方向から対策を講じます。

乗車前2〜3時間は食事を控えるのが基本です。ただし空腹すぎても酔いやすいため、軽くおやつを与える程度にとどめます。走行中は急加速・急ブレーキ・急カーブを避けてなめらかな運転を心がけてください。窓を2〜3cmほど開けて外気を入れると、車内の気圧変化が和らいで酔いにくくなります。

クレートで体が固定されていると揺れが軽減されるため、自由に動き回らせるより車酔いしにくくなるという報告もあります。車酔いが気になる犬にはクレートの利用を試してみてください。

段階的な慣らし方(5ステップ)

車に慣れていない犬は、いきなり長距離を走ると「車=嫌な場所」という印象がついてしまいます。短い距離から段階的に慣らすのがポイントです。

  1. エンジンを切った車内で5分間おやつを食べる練習(3日ほど繰り返す)
  2. エンジンをかけた状態で車内に5分間いる練習
  3. 近所を5分間走ってみる。帰宅後におやつで褒める
  4. 10分、15分と走行時間を少しずつ延ばす
  5. 好きなドッグランや公園を目的地にして「車に乗る=楽しい場所に行ける」と結びつける

このステップを2〜3週間かけてゆっくり進めると、車酔いが改善する犬は少なくありません。それでも改善しない場合は、獣医師に相談すると酔い止め薬を処方してもらえることがあります。犬用のハーブサプリメント(アークナチュラルズのハッピートラベラーなど、乗車30分前に与えるタイプ)も選択肢のひとつですが、まずはかかりつけの獣医師への相談を優先してください。

夏場・冬場の車内温度管理

車内温度の管理は犬の命に直結する問題です。JAFの実験によると、外気温35度の条件で窓を閉め切った車内温度はわずか15分で50度を超えます。犬は全身で汗をかけず、体温調節は主にパンティング(口からハアハアと呼吸すること)に頼っているため、熱中症のリスクは人間以上に高いと考えてください。

夏場の温度管理チェックリスト

  • 冷感マットをクレートやシートの上に敷く。ジェルタイプ(1,500〜3,000円)は即効性があり、アルミ素材タイプ(2,000〜4,000円)は持続力がある
  • 後部座席にもエアコンの風が届くか確認する。クレートの中は風が通りにくいため、向きを工夫する
  • 窓にサンシェードを貼って直射日光を遮る。Green Convenience製の遮光サンシェード(約1,300円)は可視光線を83%カットする
  • 1〜2時間ごとに水を飲ませる。こぼれにくいウォーターボウル(els pet製など)があると便利
  • 「エアコンをつけているから」と犬だけを車内に残さない。故障やバッテリー上がりが起きれば数分で致命的な高温になる

夏場は熱中症のリスクが高まります。万が一の症状が出た場合の応急処置については「ペットの熱中症対策。室内での予防から応急処置まで」で詳しく解説しています。

冬場の注意点

冬場は暖房による車内の乾燥に注意が必要です。フリース素材のブランケットをクレートに入れておくと、犬が自分で潜ったり上に乗ったりして温度を調整できます。暖房の吹き出し口が犬に直接当たらない位置にクレートを設置するのもポイントです。

SA/PAでの犬連れ休憩 ― ドッグラン併設エリアの探し方

長距離ドライブでは、2時間に1回を目安に休憩を入れましょう。犬にとってもトイレ休憩と水分補給の大切なタイミングです。

近年はドッグラン併設のSA/PAが増えています。NEXCO3社(東日本・中日本・西日本)がそれぞれ公式サイトでドッグラン設置箇所を公開しているので、出発前にルート上の対応状況を確認しておくと安心です。

NEXCOドッグラン情報の確認先主な設置SA/PA(一部)
東日本ドラぷら(driveplaza.com)蓮田SA、佐野SA、那須高原SA、高坂SA
中日本sapa.c-nexco.co.jp尾張一宮PA、南条SA、駒ヶ岳SA
西日本w-holdings.co.jp/service/dogrun/吉備SA、宮島SA、淡河PA

SA/PAで犬を外に出すときは脱走に注意してください。車の出入りが多い場所でリードが外れると取り返しがつきません。普段の散歩では伸縮リードを使っている方も、SA/PAでは伸縮しない固定長リードに切り替えるのが安全です。首輪+ハーネスの2重装着にすると、片方が外れてもすぐに犬を確保できます。

迷子札やマイクロチップの登録情報が最新かどうかも出発前に確認しておきたい項目です。2022年6月からブリーダーやペットショップから迎えた犬にはマイクロチップの装着が義務化されていますが、引越し後に登録住所を更新していないケースは意外と多いので、遠出の前に一度確認しておくことをおすすめします。

グッズの費用を一括で計算する ― 初期投資の目安

ドライブグッズを一式揃えると、どのくらいの費用がかかるのか。体重帯別に最低限の構成と費用感をまとめました。

構成アイテム小型犬の費用目安中型犬の費用目安大型犬の費用目安
クレート or ドライブボックス5,000円10,000円16,000円
シートカバー(ハンモック型)2,500円3,000円3,500円
ウォーターボウル1,500円1,500円1,500円
ペットシーツ(1パック)500円700円1,000円
迷子札1,000円1,000円1,000円
合計約10,500円約16,200円約23,000円

これはあくまで最低限の構成です。夏場に遠出が多い方は冷感マット(1,500〜4,000円)、長距離ドライブが多い方はトランクマット(5,000〜12,000円)をプラスするとよいでしょう。グッズは消耗品ではないため、一度揃えれば数年は使い続けられます。

まとめ

犬とのドライブで最優先すべきはクレートやドライブハーネスなどの安全対策グッズです。道路交通法上の義務でもあり、犬の命を守る装備でもあります。体重別の選び方を参考に、自分の犬に合ったサイズを選んでください。

車酔いは近距離からの段階的な練習で改善するケースが多く、夏場は車内温度の管理が犬の命に直結します。グッズを揃えたら、まずは近場のドッグランや公園への短距離ドライブからスタートしてみてください。回数を重ねるうちに、自分の犬と車に合ったスタイルが見えてきます。

クレートに慣れさせる練習方法については「クレートトレーニングの進め方。犬が安心できる居場所を作る方法」で解説しています。また、引越しで犬を長距離移動させる予定がある方は「犬の引越しストレス対策ガイド。準備から新居での慣らし方まで」も参考にしてください。

参考情報

ペット飼育者の自家用車保有率(約90%)およびおでかけ頻度(93%が3ヶ月に1回以上)はWan!Pass「愛犬家のおでかけに関するアンケート調査」(n=2,882)に基づきます。車内温度の上昇データ(外気温35度で15分後に50度超)はJAF「真夏の車内温度変化についての実験」の公表結果を参照しました。道路交通法における犬の乗車に関する規定は同法第55条第2項(乗車積載方法の制限)および第70条(安全運転義務)を根拠としています。各グッズの商品名と価格は主要ECサイト(Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピング)の掲載価格(2026年4月時点)を参考にしています。マイクロチップ装着義務化は「動物の愛護及び管理に関する法律」の2022年6月施行の改正に基づきます。NEXCO各社のドッグラン設置情報は各社公式サイトの2026年4月時点の掲載内容を参照しました。