東京でペットと暮らす部屋を探し始めると、やはり新築や築浅の物件が候補に挙がります。ペット対応フローリングや足洗い場が最初から備わっていて、前の入居者のにおいも気にしなくていい。ただ実際に「ペット可+新築」で検索すると、表示される物件の少なさに驚く方がほとんどではないでしょうか。

東京23区の賃貸物件のうちペット可は約12〜15%とされており、そこからさらに「新築」に絞ると選択肢は一気に減ります。しかも新築特有の費用構造があり、築古物件とは初期費用の考え方が根本的に異なります。この記事では家賃相場から初期費用の全体像、退去時に損をしないための入居時対策までまとめました。

東京23区エリア別 ペット可新築賃貸の家賃相場

新築マンションの供給量は再開発の進み具合に左右されます。ペット可の新築・築浅物件が見つかりやすいエリアを、1LDKの家賃相場とあわせて整理しました。

エリア1LDK家賃相場(新築)ペット可の傾向補足
江東区(豊洲・有明)14万〜18万円大型マンションで許可率が高い湾岸再開発の中心。ドッグラン付き物件あり
板橋区(大山・成増)9万〜12万円小規模新築に多い建て替え需要で築浅が増加中
足立区(北千住・綾瀬)8万〜11万円再開発エリアに集中5路線利用可で利便性が高い
品川区(大井・戸越)13万〜17万円タワマン系で許可あり品川再開発の波及エリア
世田谷区(三軒茶屋)13万〜16万円建て替え物件に多い公園が多く犬の散歩に向く
中央区(勝どき・月島)16万〜22万円タワマン中心家賃は高いが設備は充実
練馬区(大泉・石神井)9万〜12万円住宅街の小規模新築石神井公園など自然環境が良い

注意したいのは、同じ「新築」でも大規模マンションと小規模アパートで設備に大きな差がある点です。ペット足洗い場やドッグランは50戸以上の物件に多く、小規模な新築アパートは「ペット可」であっても設備は最低限というケースが珍しくありません。

東京23区のペット可物件の割合は区によって差があり、PEDGEの調査では港区が約24.9%と最も高く、江戸川区は約8%と最も低い結果でした。再開発エリアの大型マンションほどペット飼育に寛容な傾向があります。

ペット可新築物件にかかる初期費用の全体像

新築ペット可物件の初期費用で見落とされがちなのは、家賃そのものが高い分だけ各項目の実額が大きくなる点です。「敷金2ヶ月」という条件は築古と同じに見えても、支払総額はまるで違います。

家賃12万円の新築物件を想定した初期費用の内訳です。

項目金額の目安備考
敷金(通常分)12万円(1ヶ月)退去時に精算
敷金上乗せ(ペット分)12万円(1ヶ月)償却の場合は返金なし
礼金12万〜24万円(1〜2ヶ月)新築は2ヶ月が多い
仲介手数料最大13.2万円(1ヶ月+税)交渉余地あり
前家賃12万円(1ヶ月)入居月分
火災保険1.5万〜2.5万円ペット特約付きは高め
鍵交換・消毒1万〜3万円新築でも請求される場合あり
保証会社利用料6万〜12万円(家賃の50〜100%)必須の物件が増加
合計目安約70万〜90万円家賃の約6〜7.5ヶ月分

家賃8万円の築古物件で敷金1ヶ月・礼金1ヶ月なら、初期費用は40万〜50万円程度。新築との差額は30万〜40万円に達します。ペット可物件の初期費用はペット不可より家賃1ヶ月分ほど多くなるのが一般的で、新築の場合は礼金2ヶ月の設定が多いため、総額は家賃の6〜7.5ヶ月分まで膨らみます。

敷金の「上乗せ」と「償却」の違いを理解する

ペット可物件の契約で最もトラブルになりやすいのが、敷金の「上乗せ分」の扱いです。退去時に想定外の出費を避けるために、契約前にこの仕組みを押さえておく必要があります。

ペット可物件における敷金の加算パターンは主に3つあります。

1つ目は「敷金積み増し」。通常の敷金に加えて家賃1〜2ヶ月分を預けるもので、退去時に原状回復費用を差し引いた残額が返還されます。ペットによる損傷がなければ上乗せ分も返ってくる可能性があり、借主にとっては最も有利なパターンです。

2つ目は「敷金償却(敷引)」。上乗せ分の敷金が退去時に返還されない契約で、「ペット飼育に伴う敷金1ヶ月分は償却とする」という特約がこれにあたります。部屋をどれだけ綺麗に使っても上乗せ分は戻りません。東京のペット可物件ではこのパターンが増えています。

3つ目は「ペット保証金」。敷金とは別名目で預けるもので、金額は家賃1〜2ヶ月分が相場です。返還条件は物件ごとに異なるため、契約書の文言を一字一句確認する必要があります。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、ペット飼育による損傷(柱やクロスの傷、におい付着)は借主負担と判断される場合が多いとされています。敷金の上乗せ自体は合理的な措置ですが、「償却か返還か」の違いで退去時の負担額は数十万円変わります。契約前に必ず「この敷金は退去時にどうなるのか」を書面で確認してください。

「ペット可」と「ペット共生型」の違いを知っておく

新築物件を探すうえで見落とされがちなのが、「ペット可」と「ペット共生型」の違いです。多くの不動産ポータルサイトではどちらも「ペット可」に分類されますが、実態は大きく異なります。

「ペット可」物件は、もともとペット不可だった物件が空室対策として条件を緩和したケースを含みます。壁紙や床材は通常仕様のままで、退去時の原状回復費用が高額になりやすいのはこのタイプです。

「ペット共生型」物件は、設計段階からペットとの暮らしを前提に建てられています。足洗い場、ペット用エレベーターボタン、敷地内ドッグラン、傷がつきにくい床材や消臭機能付き壁紙が標準装備です。東京では池袋エリアの「Dear WAN Court」シリーズや、湾岸エリアのタワーマンション群が代表例にあたります。

比較項目ペット可(通常型)ペット共生型
設計コンセプトペット不可→条件緩和最初からペット前提
床材・壁材通常仕様ペット対応仕様が標準
共用設備特になし足洗い場・ドッグラン等
入居者の理解ペットNGの入居者もいる全員がペット飼育者
家賃相場一般相場の1.05〜1.2倍一般相場の1.5〜2倍
退去費用リスク高め設備が保護してくれる分、低め
近隣トラブル起きやすい起きにくい

共生型は家賃が割高ですが、退去時の原状回復費用を抑えられること、近隣トラブルのリスクが低いことを考えると、トータルコストで逆転するケースもあります。新築物件を探すなら、単に「ペット可」で検索するだけでなく、「ペット共生型」を検索条件に加えてみてください。

新築物件のペット対応設備を内見で見極めるポイント

新築・築浅物件の内見では、ペット対応設備の有無だけでなく「質」を確認することが大切です。

床材は、靴下で歩いて滑り具合を確かめるのが手軽です。靴下と犬の肉球は摩擦係数が近いとされ、靴下で滑るなら犬にも滑る可能性が高いと判断できます。ペット対応フローリングは滑り止め加工が施されているため、通常品とは感触が明らかに異なります。

壁紙は、腰壁パネルやペット対応クロスの有無を確認します。猫を飼う場合、壁紙の種類は退去費用に直結します。

換気設備の給気口が低い位置にあると、猫が爪を引っかけて交換費用を請求されるケースがあります。24時間換気の動作音も確認しておくと安心です。音に敏感な犬は低周波音にストレスを感じることがあります。

ベランダの柵の間隔は、子猫や小型犬がすり抜けないか目視で確かめます。間隔が広い場合はメッシュネットの設置が必要になるため、管理規約で取り付けが許可されているかもあわせて確認しましょう。

新築で退去費用を膨らませないための入居初日対策

新築物件は「どこが元からある傷か」がはっきりしないため、退去時にペットによる損傷と判断されやすい傾向があります。入居初日にやるべきことを押さえておきましょう。

部屋の全箇所を写真撮影して記録することが最優先です。壁紙の端の浮き、フローリングの微細な凹み、建具の擦れ跡まで、日付入りで撮影しておきます。データはクラウドストレージに保存し、スマホ本体だけに残さないようにしてください。この記録が退去時の交渉材料になります。

床の保護は家具搬入前に済ませましょう。透明タイプのフロアマットなら新築の床材デザインを活かしながら傷を防げます。玄関周りは散歩帰りの犬が走り回るため、滑り止め付きマットを敷いておくと転倒防止にもなります。

猫を飼う場合は壁の角とドア枠に爪とぎ防止シートを貼るのが効果的です。市販の透明保護シートは1枚500〜800円程度。壁紙1面の張り替えが3万〜5万円かかることを考えると、数千円で防げるなら安い投資です。

「新築」にこだわらない選択肢も視野に入れる

予算に限りがある場合、築5年以内まで条件を広げると物件数は大幅に増えます。新築・築浅・築古それぞれの特徴を比較しました。

比較項目新築(築1年以内)築浅(築2〜5年)築古(築10年以上)
1LDK家賃(23区平均)12万〜18万円10万〜15万円7万〜11万円
ペット対応設備充実している物件が多い物件によるほぼなし
敷金上乗せ1〜2ヶ月が多い1ヶ月が一般的1ヶ月または上乗せなし
傷の目立ちやすさ非常に目立つやや目立つ目立ちにくい
退去費用リスク高い中程度低い
物件の選択肢少ないやや多い多い
年間コスト差(新築比)基準約24万〜36万円安い約60万〜84万円安い

築2〜5年の物件はペット対応設備がそのまま残っているケースが多く、家賃は新築より月2万〜3万円安くなるのが一般的です。年間で24万〜36万円の差額になるため、浮いた分をペット保険や良質なフードに回す考え方もあります。

空室対策としてペット可に変更した築古物件は、家賃交渉の余地があることも。不動産会社に「もともとペット不可だった物件か」を確認してみるのも費用を抑える手段の一つです。

ペット可新築物件を効率よく探す方法

新築物件は中古と異なり、ポータルサイトに掲載される前に決まってしまうことが珍しくありません。情報を早くつかむための方法をまとめます。

不動産会社への事前登録が最も確実です。大手デベロッパーの賃貸部門や地場の管理会社に「新築・築浅、ペット可、1LDK以上、家賃○万円まで」と条件を伝えておけば、物件情報が入った段階で連絡してもらえます。ポータルサイトに掲載される前に入居者が決まる物件も多いため、早めの登録が鍵になります。

散歩コースや通勤経路で建設中の物件を見かけたら、建築計画のお知らせ看板に記載されている施主名をメモしておいてください。竣工予定の2〜3ヶ月前に管理会社へ問い合わせれば、募集開始前に内見予約を入れられることがあります。

検索条件を「築3年以内」まで広げるのも有効です。築2〜3年の物件は新築プレミアムが落ちて家賃が下がっているのに、設備は新築とほぼ同等。ペット共生型マンションなら、築数年でも共用設備はそのまま使えます。

よくある質問

Q. 東京でペット可新築マンションの初期費用はどれくらい用意すればよいですか?

家賃12万円の物件を想定すると、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保証会社利用料などを合計すると70〜90万円が目安です。家賃の6〜7.5ヶ月分が初期費用として必要になります。ペット可物件は礼金2ヶ月の設定が多く、新築はさらにプレミアムが乗るため、通常の賃貸より多めに準備しておく必要があります。

Q. ペット可物件の敷金「償却」と「積み増し」の違いは何ですか?

「積み増し」は通常の敷金に加えて1〜2ヶ月分を預けるもので、退去時にペットによる損傷がなければ返還される可能性があります。「償却(敷引)」は上乗せ分が退去時に返還されない契約で、部屋を綺麗に使っても戻りません。同じ「敷金1ヶ月上乗せ」でも、どちらのパターンかで退去時の負担が数十万円変わるため、契約前に書面で必ず確認してください。

Q. 「ペット共生型」マンションに住むと退去費用は安くなりますか?

設計段階からペット飼育を前提にした床材・壁材が標準装備されているため、一般的なペット可物件と比べて退去時の原状回復費用が抑えられるケースが多いです。また入居者全員がペット飼育者のため近隣トラブルも起きにくく、長く安心して住めることでトータルコストが下がる場合があります。家賃は一般相場の1.5〜2倍と高めですが、転居コストも含めて比較する価値があります。

Q. 新築のペット可物件で入居初日に必ずやるべきことは何ですか?

部屋全体を日付入りで写真撮影し、クラウドストレージに保存することが最優先です。壁紙の端の浮き、フローリングの微細な凹み、建具の擦れ跡まで記録しておきます。さらに床への透明フロアマットの設置と、猫を飼う場合は壁の角・ドア枠への爪とぎ防止シート貼りを入居日に済ませておくと、退去時の原状回復費用を大幅に抑えられます。

Q. 東京でペット可の新築物件がポータルサイトに掲載前に決まってしまうことはありますか?

新築物件は特に竣工前後に申し込みが集中するため、ポータルサイト掲載前に入居者が決まるケースがあります。大手デベロッパーの賃貸部門や地場の管理会社に条件を事前登録しておくと、募集開始の連絡をもらえます。建設中の物件を見かけたら施主名をメモし、竣工2〜3ヶ月前に問い合わせる方法も有効です。

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東京でペット可の新築賃貸を探す場合、家賃相場はエリアによって8万〜22万円と幅があり、初期費用は家賃の6〜7.5ヶ月分が目安です。敷金の「償却か返還か」は退去時の負担に直結するため、契約前に必ず書面で確認してください。入居初日の写真撮影と床・壁の保護対策が、将来の出費を大きく左右します。

参考情報

  • 各エリアの家賃相場はSUUMO・HOME’S等の不動産ポータルサイトの掲載データ(2026年4月確認)に基づく概算値です
  • 東京23区のペット可物件の割合は、PEDGE「ペット可賃貸の現状について」(2016年調査、約12%)およびLIFULL HOME’Sの掲載データ分析(2024年時点、約15%〜24%)を参照しています
  • 敷金・原状回復の考え方は国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(2011年)に基づきます
  • 区別のペット可物件割合(港区24.9%、江戸川区8%)はPEDGEのレポート(2016年5月時点)に基づきます
  • ペット共生型物件の家賃相場(一般相場の1.5〜2倍)はアパマンショップおよびLIFULL HOME’Sの解説記事(2025年確認)を参照しています
  • 初期費用の試算は不動産ポータルサイトの掲載条件および不動産業界の一般的な費用水準から算出した概算です