ある日突然、管理会社から「階下の方から足音について相談がありました」と連絡が入る。ペット可マンションに住んでいても、このパターンは珍しくありません。犬が走り回る音、猫がキャットタワーから飛び降りる着地音。飼い主が思っている以上に、下の階には響いています。

騒音トラブルは放置すると退去を求められるケースにまで発展することがあります。自分でできる床の防音対策と鳴き声の遮音対策を、マンションの構造別・費用別にまとめました。

マンション構造別の遮音性と対策レベル

防音対策を始める前に、自分のマンションの構造を把握しておくことが大切です。構造によって音の伝わり方はまるで違います。

構造遮音性ペットの足音の伝わり方推奨する対策
RC造(鉄筋コンクリート)高い走り回ると聞こえることがあるジョイントマット1層でOK
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)高いRC造と同等ジョイントマット1層でOK
鉄骨造(S造)中程度歩行音でも聞こえることがある2層構造を推奨
木造低い軽い足音でも伝わりやすい遮音シート+マット+カーペットの3層

RC造やSRC造なら日常の歩行音はほぼ問題になりませんが、犬が興奮して走り回る音や猫のジャンプ着地音のような「衝撃音」は伝わります。鉄骨造や木造の場合は普段の歩行音でも気になるレベルになりうるため、防音の優先度が高くなります。

マンションの遮音等級は「L値」で表され、数字が小さいほど遮音性が高い。一般的なマンションはL-45〜L-55程度で、ペットがいる場合はL-45以下を目指したいところです。

床の防音DIY。予算別の3パターン

パターン1: ジョイントマットを敷き詰める(5,000〜12,000円/6畳)

最も手軽で、かつ効果の高い方法です。EVA素材のジョイントマットを選ぶ際は厚さ2cm以上を基準にしてください。1cmと2cmでは衝撃吸収性に体感で分かるレベルの差があります。

製品名厚さ衝撃吸収効果6畳の費用
タンスのゲン 大判ジョイントマット2cm高い4,000〜6,000円
CBジャパン ジョイントマット 厚手2cm高い5,000〜8,000円
LIFEJOY 極厚ジョイントマット3cm以上非常に高い8,000〜12,000円
100均ジョイントマット5mm基本的な効果2,000〜3,000円

タンスのゲンの「大判ジョイントマット」(60cm角・厚さ2cm・6畳分約5,000円)はコスパの良い定番商品。サイドパーツ付きで端の処理もきれいに仕上がります。

100均のジョイントマットは厚さ5mm程度で、ペットの足音対策としては力不足です。ホームセンターやネット通販で2cm以上の厚手タイプを選んでください。

パターン2: ジョイントマット+タイルカーペットの2層(15,000〜25,000円/6畳)

ジョイントマットの上にタイルカーペットを重ねると、防音効果がさらに上がります。見た目もインテリアになじみやすく、汚れた部分だけ交換できるのが利点です。

製品名特徴費用(6畳)
東リ ファブリックフロア防音性能(デルタLL値)が公表されている。色柄が豊富12,000〜18,000円
サンゲツ スタイルキット カット同上。カットが容易でDIY向き10,000〜15,000円

RC造ならこの2層でペットの足音対策は十分なケースがほとんどです。ジョイントマットとの組み合わせで、体感できるレベルの遮音効果が得られます。

パターン3: 遮音シート+マット+カーペットの3層(21,000〜35,000円/6畳)

木造や鉄骨造で本格的に防音したい場合は、3層構造がおすすめです。

素材役割費用(6畳)代表的な製品
1層目(最下層)遮音シート振動の遮断6,000〜12,000円大建工業 遮音シート940SS、サンダム CZ-12
2層目厚手ジョイントマット(2cm)衝撃吸収5,000〜8,000円タンスのゲン 大判
3層目(表面)タイルカーペット防音+見た目+滑り止め10,000〜15,000円東リ ファブリックフロア

遮音シートはゴムや樹脂製の重い素材で、振動を吸収する効果があります。大建工業の「遮音シート940SS」(6畳分8,000〜12,000円)やサンダムの「CZ-12」(6畳分6,000〜9,000円)が代表的な製品。重量があるため施工には手間がかかりますが、効果は1段上がります。

3パターンの費用対効果比較

パターン費用(6畳)防音効果施工の手軽さ向いている構造
1層(マットのみ)5,000〜12,000円とても簡単RC造・SRC造
2層(マット+カーペット)15,000〜25,000円高い簡単RC造・SRC造・S造
3層(シート+マット+カーペット)21,000〜35,000円非常に高いやや手間S造・木造

キャットタワーの着地音対策

猫がキャットタワーから飛び降りる衝撃は、走り回る足音よりも大きくなることがあります。体重4kgの猫が1mの高さから着地すると、衝撃はかなりのものです。

キャットタワーの下には厚手ジョイントマットを広めに敷いてください。着地点は真下とは限らないため、周囲1m程度の範囲をカバーするのが理想です。タワー直下だけに敷くと、斜めにジャンプしたときの着地音を防げません。

タワーの設置場所も工夫の余地があります。部屋の角に置くと壁が振動の伝達を抑えるため、中央に置くより音が響きにくい。ステップの段差が小さいキャットタワー(各段の高低差30cm以下)を選ぶと、猫が大ジャンプしなくても移動できるため着地衝撃そのものが減ります。

犬の走り回り対策は「エリア制限+運動発散」

犬が室内を走り回る音を完全にゼロにするのは現実的ではありません。走る範囲を限定して、そのエリアだけに防音対策を集中させるほうが効率的です。

対策費用効果
ペットゲートで走行エリアを限定3,000〜10,000円防音範囲を絞れる
限定エリアに防音マットを集中5,000〜12,000円コストを抑えられる
犬用室内靴下(docdog いぬたび等)1,500〜2,000円/4足足音軽減+滑り止め
朝夕の十分な散歩0円室内での興奮を軽減
ノーズワーク・コング遊び800〜1,500円走り回らない知育遊び

犬用の室内靴下は足音の軽減に使えます。docdog(ドックドッグ)の「いぬたび」(1,500〜2,000円/4足)は滑り止め付きで、足音対策とフローリングの傷防止を兼ねた製品です。ただし嫌がって脱ぐ犬も多いため、床対策と並行して試すくらいの位置づけになります。

根本的には、犬が室内で走り回る原因を減らすのが最も効果的。朝夕の散歩を十分に行い、室内ではノーズワーク(鼻を使った知育遊び)やコング(800〜1,500円)でのフード遊びなど、走り回らなくても満足できる遊びを取り入れると室内での興奮が減ります。

鳴き声の防音は窓からの対策が先

足音が「固体伝播音」として床を通じて階下に伝わるのに対し、鳴き声は「空気伝播音」として窓や壁の隙間から漏れます。窓の防音を強化するだけで、外部への音漏れはかなり軽減できます。

窓の防音対策の費用比較

対策費用遮音効果手軽さ賃貸での使用
窓の隙間テープ300〜500円/窓中程度貼るだけOK
防音カーテン(ニトリ遮音カーテン等)5,000〜8,000円/窓(2枚組)5〜10dB減取り付けるだけOK
防音カーテン(高性能タイプ)10,000〜20,000円/窓8〜15dB減取り付けるだけOK
内窓(YKK AP プラマードU等)50,000〜100,000円/窓20〜30dB減業者施工分譲のみ

窓の隙間テープ(ホームセンターで300〜500円)は見逃せない対策です。サッシの隙間から漏れる音は想像以上に大きく、テープで塞ぐだけで体感できるレベルの変化があります。

防音カーテンはコストと効果のバランスが良い選択肢。ニトリの「遮音カーテン」(幅100×丈200cm・2枚組5,000〜8,000円)は5〜10dBの遮音効果があり、犬の鳴き声が隣の部屋に届くレベルをはっきり下げてくれます。

分譲マンションで予算をかけられる場合は、内窓(二重窓)の設置が最も効果が高い。YKK APの「マドリモ 内窓 プラマードU」やLIXILの「インプラス」が代表的な製品で、取り付け費込みで1窓あたり5〜10万円程度。防音だけでなく断熱性能も上がるため、冷暖房効率の改善にもつながります。

防音グッズの費用対効果を一覧で比較

対策防音効果費用手軽さ向いている構造
厚手ジョイントマット(2cm)高い5,000〜8,000円/6畳とても簡単RC造・SRC造
防音タイルカーペット高い10,000〜15,000円/6畳簡単全構造
遮音シート中〜高い6,000〜12,000円/6畳やや手間S造・木造
防音カーペット(一枚敷き)中程度15,000〜30,000円/6畳簡単だが重い全構造
防音カーテン中程度(鳴き声向き)5,000〜15,000円/窓取り付けるだけ全構造
窓の隙間テープ中程度(鳴き声向き)300〜500円/窓貼るだけ全構造
犬用室内靴下やや低い1,500〜2,000円/4足犬が嫌がる場合あり全構造
内窓(二重窓)非常に高い50,000〜100,000円/窓業者施工分譲のみ

賃貸での防音DIY。退去時に困らないために

ジョイントマットやタイルカーペットは退去時にすべて撤去すれば原状回復に影響しません。ただし、長期間敷きっぱなしにするとフローリングに色移りや湿気による変色が起きることがあります。3ヶ月に1回程度はマットをめくって換気し、床材の状態を確認してください。

固定に両面テープを使う場合は、フローリングに跡が残らないタイプを選ぶこと。ニトムズの「はがせる両面テープ」(400〜600円)は剥がし跡が残りにくく、賃貸での使用に適しています。

遮音シートは重量があるため、木造アパートでは床の構造によっては使えないケースも。管理会社に事前に相談しておくのが無難です。

賃貸での防音対策コストまとめ

賃貸でできる対策初期費用退去時の影響
ジョイントマット5,000〜12,000円撤去すればOK。色移り注意
タイルカーペット10,000〜15,000円撤去すればOK
防音カーテン5,000〜15,000円元のカーテンに戻すだけ
隙間テープ300〜500円はがすだけ
はがせる両面テープ400〜600円跡残りが少ない製品を選ぶ

まず5,000円から始めてみる

防音対策に完璧を求めると費用が膨らみがちですが、RC造のマンションなら厚手ジョイントマット1層(5,000〜8,000円)で十分に効果が出ることも多い。犬がよく走るルート、猫のジャンプ着地点など、音が出やすいポイントから対策を始めて、様子を見ながら範囲を広げていくのが現実的なアプローチです。

階下との関係も大切です。防音対策をしたら「対策しました」と一言伝えておくと、それだけで印象が変わります。問題が起きてから慌てるより、先手を打つほうが、結局はお互いにとってストレスが少なくて済むものです。


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参考情報

記事内の製品情報・価格は各メーカー公式サイト(タンスのゲン、CBジャパン、東リ、サンゲツ、大建工業、ニトリ、YKK AP、LIXIL、docdog、ニトムズ)および主要ECサイトの掲載価格(2026年4月確認)を参考にしています。マンションの遮音等級(L値)に関する情報は日本建築学会の「建築物の遮音性能基準と設計指針」に基づいています。