犬や猫を飼い始めると、最初に動物病院で案内されることが多いのがワクチン接種です。感染症を防ぐために重要な予防医療ですが、種類が多く、費用も病院によって違うため「何を打てばよいのか」「毎年必要なのか」と迷いやすい項目です。
ワクチンは安さだけで選ぶものではありません。生活環境、年齢、外出頻度、他の動物との接触、地域の感染リスクによって必要な種類が変わります。ここでは犬猫の代表的なワクチン費用と、接種スケジュールの考え方を整理します。
犬のワクチン費用
犬のワクチンは、法律で義務づけられた狂犬病予防接種と、任意の混合ワクチンに分かれます。混合ワクチンは、犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎などを組み合わせたものです。
| 種類 | 費用の目安 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 狂犬病予防接種 | 2,500〜3,500円 | すべての犬。登録・注射済票手数料が別途かかる場合あり |
| 5〜6種混合ワクチン | 5,000〜8,000円 | 室内中心、散歩が日常的な犬 |
| 8種以上の混合ワクチン | 7,000〜10,000円 | ドッグラン、旅行、アウトドア、水辺に行く犬 |
| 初診料・診察料 | 1,000〜3,000円 | ワクチン代に含まれる病院と別料金の病院がある |
狂犬病予防接種は年1回の義務です。自治体の集合注射を利用する方法と、動物病院で個別に受ける方法があります。体調確認や他の予防相談をまとめてしたい場合は、動物病院で受けるメリットがあります。
猫のワクチン費用
猫のワクチンは、完全室内飼いか、外に出る可能性があるかで選び方が変わります。完全室内飼いでも、飼い主の衣服や新しく迎える猫を通じて感染リスクがゼロになるわけではないため、3種混合を基本に考える病院が多いです。
| 種類 | 費用の目安 | 主な対象 |
|---|---|---|
| 猫3種混合ワクチン | 4,000〜6,000円 | 完全室内飼いの猫で基本になりやすい |
| 猫4種・5種混合ワクチン | 5,000〜8,000円 | 外出する猫、多頭飼い、保護猫導入時など |
| FIVワクチン | 3,000〜5,000円 | 感染リスクが高い猫で獣医師と相談 |
| 接種前診察 | 1,000〜3,000円 | ワクチン代に含まれるか要確認 |
猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)に関わるワクチンは、接種前に検査が必要になることがあります。外出歴のある猫や保護猫を迎えた場合は、ワクチンだけでなくウイルス検査もセットで相談しましょう。
子犬・子猫の接種スケジュール
子犬・子猫は母親から受け継いだ移行抗体の影響を受けるため、一定期間を空けて複数回の接種を行うのが一般的です。細かな時期はワクチンの種類や飼育環境で変わるため、主治医の指示に従ってください。
| 時期 | 犬の目安 | 猫の目安 |
|---|---|---|
| 生後6〜8週頃 | 1回目の混合ワクチンを検討 | 1回目の混合ワクチンを検討 |
| 生後10〜12週頃 | 2回目 | 2回目 |
| 生後14〜16週頃 | 3回目を行うことが多い | 3回目を行うことがある |
| 生後1年後 | 追加接種 | 追加接種 |
| 成犬・成猫 | 生活環境に応じて1〜3年ごとに相談 | 生活環境に応じて1〜3年ごとに相談 |
WSAVAのワクチンガイドラインでは、コアワクチンとノンコアワクチンを分け、生活環境に応じた接種を重視しています。日本では製品の添付文書や地域事情も考慮する必要があるため、海外基準だけで自己判断せず、かかりつけ医と相談するのが安全です。
副反応と接種日の注意点
ワクチン接種後は、元気がない、眠そう、接種部位を気にする、軽い発熱が見られることがあります。多くは一時的ですが、顔が腫れる、嘔吐を繰り返す、呼吸が苦しそう、ぐったりするなどの症状が出た場合は、すぐに動物病院へ連絡してください。
接種日は午前中から午後早めの時間帯がおすすめです。夜に副反応が出ると受診先が限られるため、病院の診療時間内に経過を見られる時間帯に打つほうが安心です。接種当日は激しい運動、シャンプー、長時間の移動を避け、静かに過ごしましょう。
費用を確認するときのポイント
ワクチン費用は病院ごとに自由に設定されています。料金表を見るときは、ワクチン代だけでなく診察料、初診料、注射済票の手続き料、ウイルス検査の有無まで確認してください。
| 確認項目 | 理由 |
|---|---|
| 表示料金に診察料が含まれるか | 会計時の差が出やすい |
| 何種混合か | 同じ「ワクチン」でも内容が違う |
| 接種証明書の発行 | ペットホテル、トリミング、ドッグランで必要になる |
| 副反応時の連絡先 | 夜間や休診日の対応を知っておく |
| 次回接種の案内方法 | はがき、LINE、アプリなど継続管理に関わる |
ワクチン証明書は、引越し、ペットホテル、トリミング、ドッグラン、災害時の同行避難で必要になることがあります。紙でもデータでも、すぐ提示できる形で保管しておきましょう。
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参考情報
費用相場は日本獣医師会「小動物診療料金」関連資料、複数の動物病院の公開料金、2026年時点のペット医療費相場を参考にしました。接種スケジュールはWSAVA Vaccination Guidelines 2024および国内動物病院の一般的な案内をもとに整理しています。実際の接種間隔は主治医にご確認ください。
まとめ
犬猫のワクチン費用は、犬の混合ワクチンで5,000〜10,000円、狂犬病予防接種で2,500〜3,500円、猫の混合ワクチンで4,000〜8,000円が目安です。子犬・子猫は複数回接種、成犬・成猫は生活環境に応じた追加接種を考えます。費用だけでなく、必要な種類、副反応時の対応、証明書の管理まで含めて、かかりつけ医と相談しましょう。