子犬を家に迎える日は楽しみで胸がいっぱいになりますが、子犬にとっては母犬や兄弟犬と離れて見知らぬ場所に来る大きな転機です。最初の1ヶ月の過ごし方がその後の性格や飼い主との関係に直結します。

この記事では迎える前の準備から4週目までにやることを時系列で整理しました。費用の目安も載せているので、予算の見通しにもお使いください。

迎える前にそろえるグッズと費用

子犬が来る当日に「まだ買っていなかった」では間に合いません。初日から必要なものだけは先にそろえておきましょう。

アイテム選び方のポイント費用の目安
クレート成犬時の体格を見越して選ぶ。リッチェルのキャンピングキャリー(S:約4,500円、M:約5,500円)やペティオのトイレのしつけが出来る ドッグルームサークルが人気。仕切り板で広さを調整できるタイプが便利4,000〜15,000円
トイレトレー+シーツメッシュカバー付きだとシーツをいたずらしにくい。リッチェルのしつけ用ステップトレー(約2,500円)が定番2,000〜5,000円
フードブリーダーやペットショップで与えていた銘柄と同じものを用意。ロイヤルカナンのミニパピー、ヒルズのサイエンスダイエットパピーなどが獣医師推奨の定番月2,000〜5,000円
食器・水飲みひっくり返しにくいステンレスか陶器製を。リッチェルのウォーターノズル(約1,200円)はケージに取り付けるタイプで清潔に保てる500〜2,000円
首輪orハーネス+リードワクチン完了まで散歩には出ないが、室内で装着に慣らしておく。超小型犬はハーネスのほうが気管への負担が少ない2,000〜5,000円
噛むおもちゃコングのパピーコング(S約715円、M約990円)が歯の生え替わり期の定番。天然ゴム製で誤飲しにくい設計500〜2,000円
酵素系消臭剤粗相の処理に必須。ネイチャーズミラクル(約1,500円)やシュシュット(約800円)が定番800〜1,500円

グッズの合計は15,000〜40,000円程度です。大型犬はクレートだけで10,000〜15,000円、小型犬なら4,000〜6,000円で収まるケースが多く、犬種サイズで差が出ます。フードは急な切り替えで下痢を起こしやすいため、旧銘柄を最低1週間続け、変更時は10〜20%ずつ混ぜながら7〜10日かけて移行してください。

迎える前にやっておく室内の安全対策

部屋の安全チェックも忘れずに。電源コードはケーブルカバー(数百円)で保護し、犬に有毒な観葉植物(ポトス、アロエ、ユリ科)は手の届かない場所へ。靴下やヘアゴム、ボタン電池も誤飲の原因で、開腹手術になると50,000〜150,000円かかるケースもあります(アニコム損保「家庭どうぶつ白書2023」参照)。フローリングは子犬の足が滑りやすく、トイプードルやポメラニアンはパテラ(膝蓋骨脱臼)を起こしやすいため、サークル周辺にはペット用マットを敷いておきましょう。

週ごとの過ごし方と目標

最初の1ヶ月を週単位で区切ると、やるべきことが見えやすくなります。

時期テーマ具体的にやること達成の目安
初日〜3日目とにかく休ませるクレートで安心して眠れる環境を作る。食事は1日3〜4回。家族全員が静かに見守る自分からフードを食べ、クレートの中でリラックスして眠れている
1週目トイレトレーニング開始食後・寝起き・遊んだあとにトイレへ誘導。成功したら即座に褒めるトイレの場所を覚え始め、成功率3〜4割
2週目動物病院の初回受診+社会化スタート健康チェック、ワクチンスケジュール確認。室内で掃除機やドライヤーの音に慣らす獣医から健康状態のお墨付きをもらう。日常の音に過度に怯えない
3週目社会化の加速+ハンドリング練習抱っこで外の景色を見せる。足先・耳・口を触る練習。甘噛み抑制を開始身体を触られても嫌がらずにおやつを受け取れる
4週目生活リズムの安定名前を呼んだら振り向く。クレートで落ち着いて過ごせる。留守番の練習を短時間からトイレ成功率7〜8割。食事・睡眠・遊びのリズムが安定

あくまで目安で、犬種や性格によって進み方は異なります。ゴールデンレトリバーは比較的なじみやすい一方、柴犬やジャックラッセルテリアは警戒心が強く時間がかかることも。焦らず犬のペースに合わせてください。

初日〜3日目は「休ませること」が最優先

家族全員が嬉しくて構いたくなりますが、子犬にとっては環境の変化自体が大きなストレスです。睡眠時間は1日18〜20時間。起きている時間に軽くスキンシップを取り、眠り始めたらそっとしておきましょう。小さなお子さんがいる家庭では「子犬が寝ているときは触らない」ルールを先に共有しておくと安心です。

食事は1日3〜4回に分けて少量ずつ。食欲がないときは緊張が原因のことが多く半日は様子見で構いませんが、丸1日食べない場合は低血糖のリスクがあります。チワワやヨークシャーテリアなど超小型犬では命に関わることもあるため、すぐ動物病院へ。緊急対応として砂糖水(砂糖小さじ1+水50ml)を歯茎に塗りながら向かいましょう。

初日の夜に鳴くことはよくあります。クレートの近くに湯たんぽ(母犬の体温に近い温かさ)を置くと落ち着くケースがあります。鳴いているときにすぐ構いに行くと「鳴けば来てもらえる」と学習するため、鳴きやんだタイミングで声をかけるようにしてください。

1週目からトイレトレーニングを始める

環境に少し慣れてきたら、トイレトレーニングの開始です。排泄しやすいタイミングは食後・寝起き・遊んだあとの3つ。排尿の間隔は「月齢+1時間」が目安で、生後2ヶ月なら約3時間おき、生後3ヶ月なら約4時間おきです。夜間は生後3ヶ月未満だと1〜2回のトイレが必要になることもあります。

トイレ成功のポイント理由
成功したら3秒以内に褒める「ここでしたこと」と「良い体験」が結びつく。時間がたつと何を褒められたかわからなくなる
失敗しても無反応で片付ける叱ると排泄行為そのものを隠そうとし、部屋の隅や家具の裏でするようになる
トイレの場所は動かさない場所が変わると混乱する。最初に決めた位置を固定する
排泄の前兆を見逃さない床の匂いをくんくん嗅ぐ、くるくる回る、落ち着きなく歩き回るのがサイン
サークル内にトイレと寝床を分けて設置する犬は自分の寝床から離れた場所で排泄する習性がある。この性質を利用する

粗相の片付けには酵素系の消臭剤を使いましょう。普通の消臭スプレーでは犬の嗅覚が検知できるレベルの臭いが残り、同じ場所で繰り返す原因になります。生後3ヶ月の子犬でトイレ成功率が7〜8割に達するまでに2〜4週間が一般的です。家族全員が同じルール(成功→褒める、失敗→叱らない)を守ることがトレーニング期間を短くする最大のコツです。

トイレトレーニングの詳細は「犬のトイレトレーニング。マンションで失敗しない手順と対策」でさらに踏み込んで解説しています。

2〜3週目は社会化の黄金期を逃さない

生後3週齢〜12週齢は「社会化期」と呼ばれ、新しい刺激に対する順応力が最も高い時期です。14週齢を過ぎると「警戒期」に移行して社会化の難易度が上がるため、迎えてからの数週間がラストチャンスといえます。

ワクチン完了前でも抱っこで外の音や景色に触れさせることは可能です。室内でも掃除機やドライヤーの音、さまざまな素材の床を歩く体験で社会化を進められます。新しい刺激を怖がらずにやり過ごせたらおやつで褒め、怯えている場合は無理せず距離を取りましょう。

ハンドリング練習も始めましょう。足先を触る、耳の中を見る、口を開けて歯を確認する。慣らしておくと将来の動物病院やトリミングがスムーズです。トイプードルやシーズーなど定期トリミングが必要な犬種では1回5,000〜8,000円かかるため、暴れずに済むだけで将来の費用削減にもつながります。

社会化トレーニングの具体的な進め方は「犬の社会化トレーニング。マンション暮らしで実践する方法と手順」で詳しくまとめています。

動物病院の初回受診と畜犬登録

迎えてから1〜2週間以内にかかりつけ医で健康チェックを受けましょう。ブリーダーの健康診断書があっても改めての受診が大切です。

項目内容費用の目安
初診料+健康チェック体重測定、心音・呼吸音の聴診、皮膚・被毛・耳・目・口の確認1,000〜3,000円
混合ワクチン5種で5,000〜6,000円、8種で7,000〜8,000円が相場。生後16週までに2〜3回接種5,000〜8,000円/回
狂犬病予防注射生後91日以降に接種義務あり。自治体の集団接種なら約3,500円約3,500円
ノミ・ダニ・フィラリア予防フィラリアは5〜12月の月1回投与が一般的。ノミダニはネクスガード(小型犬1錠約1,800円)など月1,000〜3,000円
マイクロチップ登録変更2022年6月以降ブリーダーからの購入犬は装着済み。飼い主情報の変更手続き無料〜300円
便検査寄生虫の有無を確認1,000〜2,000円
避妊・去勢の時期相談生後6〜8ヶ月が一般的だが犬種・体格で異なる。大型犬は1歳以降を推奨する獣医師も相談のみ無料

初回受診は検査+ワクチンで10,000〜20,000円程度です。かかりつけ医は通いやすさに加えて夜間対応や救急連携の体制も確認しましょう。「動物病院の初診で持っていくものチェックリスト」もあわせてどうぞ。

畜犬登録とペット保険

狂犬病予防法により、生後91日以上の犬は市区町村への登録が義務です。手数料は3,000円で、犬の生涯に1回だけ。登録で交付される「鑑札」は首輪への装着が法律で定められています。

ペット保険も健康なうちに検討を。子犬期は月額1,500〜3,500円で加入でき、加入前の病歴は補償対象外のため早期加入にメリットがあります。アニコム損保、アイペット損保、SBIプリズム少短などがウェブで見積もり可能です。

甘噛み抑制と日常ケアの開始

子犬は生後4〜6ヶ月に乳歯から永久歯に生え替わり、何でも噛みたがります。人の手を噛んだら「痛い」と短く声を出して遊びを中断し、やめたら再開する。一貫して続けることで力加減を覚えます。コングのパピーコング(S約715円〜)やドギーマンの毎日ハミガキコットンループ(約500円)など噛んでよいおもちゃを用意しておきましょう。

日常ケアへの慣らしも3〜4週目から始めます。歯磨きはライオンペットキッス指サック歯みがきシート(約600円)から、ブラッシングは短毛種ならラバーブラシ、長毛種ならスリッカーブラシで。爪切りは先端1mm程度から練習し、嫌がらなければおやつで褒める。毎日5分の積み重ねが大切です。

1ヶ月間にかかる費用の総まとめ

「結局いくらかかるのか」を犬種サイズ別に整理しました。

費目小型犬(トイプードルなど)大型犬(ゴールデンレトリバーなど)
グッズ一式15,000〜25,000円25,000〜40,000円
フード(1ヶ月分)2,000〜3,000円4,000〜6,000円
ペットシーツ(1ヶ月分)1,000〜2,000円2,000〜3,000円
動物病院(初診+ワクチン)10,000〜18,000円10,000〜20,000円
畜犬登録3,000円3,000円
ペット保険(1ヶ月分)1,500〜2,500円2,500〜3,500円
合計32,500〜53,500円46,500〜75,500円

犬の購入代金は含んでいません。2ヶ月目以降はフード代・シーツ代・予防費が毎月かかり、避妊去勢手術(小型犬20,000〜40,000円、大型犬40,000〜60,000円)も控えています。月々のランニングコストは「犬の月間飼育費用の内訳と節約術」で犬種サイズ別にまとめています。

獣医に相談すべきタイミング

子犬は体調が急変しやすく、「様子を見すぎる」ことが最大のリスクです。丸1日フードを食べない、下痢が2日以上続くか血便が出た、嘔吐を1日3回以上繰り返す、ぐったりして呼びかけに反応しない、異物を飲み込んだ疑いがある、咳が止まらない(ケンネルコフの可能性)。こうした症状が1つでもあれば、迷わず動物病院に連絡してください。特に超小型犬は半日で状態が悪化することもあるため、夜間であれば夜間救急動物病院に電話して指示を仰ぎましょう。

子犬を迎えた最初の1ヶ月は、環境に慣らすこと、トイレトレーニング、社会化の3つが柱になります。初日〜3日は静かに休ませ、1週目でトイレの練習を始め、2〜3週目で社会化とハンドリング、4週目には生活リズムの安定を目指す流れです。

費用面ではグッズ一式と動物病院の初回受診で30,000〜75,000円ほどかかるため、迎える前に予算を確保しておくと安心です。焦らず子犬のペースに合わせることが、1ヶ月後の落ち着いた暮らしへの最短ルートになります。

参考情報

排泄間隔(月齢+1時間)は獣医学の一般的知見、社会化期と警戒期の移行は動物行動学の研究に準拠。費用はアニコム損保「家庭どうぶつ白書2023」、各メーカー公式サイト(2025年7月時点)、動物病院の公開料金表を参照しています。